伝統のやぐら干し・産直大根ぬか漬けたくあんスライス

やぐら干しは収穫した大根を畑に建てたやぐらにつるし、約2週間かけて干し上げる宮崎県の伝統製法。その文化を後世につなぐため、産直大根を使ってぬか漬けに仕立てました。太陽の光と風の力でうまみが凝縮した大根はパリパリの食感です。

『伝統のやぐら干し・産直大根ぬか漬けたくあんスライス』について詳しく知ろう！

【今回お話をうかがった方】（2024年9月時点）

株式会社河村屋小林さん
パルシステム連合会商品開発本部芦澤さん

宮崎伝統の「やぐら干し」を広く伝えたい

◆この商品を開発した経緯は

小林　2019年に「らっきょうの産直会議」で宮崎県を訪れた際、大きなやぐらに大根が干されている圧倒的な景観を目の当たりにし、その足でやぐら干し大根を見学しました。近年、その作り手は減少の一途をたどっている実情を知り、日本の伝統や文化を後世に残さなければいけないと強く感じ、商品化を提案しました。

芦澤　宮崎県の干し野菜を象徴する「大根やぐら」を含む伝統的な取り組みが、2021年に日本農業遺産に認定されました。同県田野･清武地域では露地畑作が盛んで、気候風土を生かし、冬に大根を丸ごと1本干す製法が受け継がれています。本品は認定を受けた田野町をはじめとした、やぐら干しを行う農家の集まりである産直産地「宮崎てげうめぇ会」の大根を使用しています。組合員にこの伝統食を伝え、そして産地を買い支えたいという思いがきっかけです。

◆「やぐら干し」とは

小林　大根畑に木材と竹を組み合わせて縄で固定したやぐらに、収穫した大根をつるし、天日で約２週間かけて干し上げる製法です。日当たりがよく、山から吹き下ろす乾いた風で大根の水分が半分以下になり、うまみが凝縮。外側はパリパリの歯ざわりで、中心はふんわりとした食感になります。このやぐらの組み立てや干す作業は、すべて人の手によるもの。毎年冷たい風が吹きはじめる11月になると、家族総出で作業を行います。やぐらの大きさは農家によって異なりますが、高さ6ｍ、幅6ｍほどで、なかには全長100ｍを超えるものも。雨の日にはブルーシートをかぶせ、気温が0度を下まわる寒い日にはやぐらの中で暖房をつけて大根が凍らないようにします。干し作業が終わる1月ごろまで目が離せません。

◆最初に登場したのは「１本物」、スライス品を作った理由は

芦澤　大根のサイズは特大、Ｌ、М、Ｓに分けられますが、「１本物」に使えるのは特大サイズだけ。しかも、大根１本から商品がふたつしか作れず、頭やしっぽ部分は使えません。しかし、スライス品であれば、大根のサイズを問わずに活用できます。スライス品は少量規格でそのまま食べられるだけでなく、天候不順による大小さまざまな大根や1本物の端材の有効活用として、安定した供給にひと役買っています。

2本ずつ葉を束ねた大根を、手作業でかけていきます。大根の葉は牛の飼料として有効活用

やぐら干しの中は軽トラックが通れるほどの幅があります

ぬか床で3カ月以上じっくり熟成

◆3カ月以上漬ける理由は

小林　米ぬかに漬けて発酵させることで、さらにうまみが増します。本品の製造元である「キムラ漬物宮崎工業（株）」では米ぬかと塩、唐辛子で作ったぬか床に、深さ3ｍほどある水槽を使用。このぬか床で3カ月以上じっくり熟成発酵させます。この漬け込み期間こそ、やぐら干しされた大根の味わいを生かせる同社のこだわりです。また、味付けする調味液は、砂糖、醸造酒、かつお節エキス、みりん、柿の皮を使用。市販品には化学調味料や着色料を加えるものもありますが、本品はシンプルな原材料で作っています。