り・さいくりんぐトイレットペーパー

『こんせん72牛乳』の紙パックを再利用したいという組合員の声から生まれたこの商品。原料は組合員から回収した牛乳パックや注文用紙などです。表面にはしわを多く入れるなど、再生紙ながら改良を重ねソフトな使い心地に仕上げています。

『り・さいくりんぐトイレットペーパー』について詳しく知ろう！

【今回お話をうかがった方】（2024年3月時点）

マスコー製紙株式会社　加藤進太郎さん
JPホームサプライ株式会社　末竹直人さん
パルシステム連合会商品開発本部　石川亮子さん

誕生のきっかけは組合員の声

◆この商品が生まれた経緯は

石川　1990年代初めに、組合員から寄せられた「『こんせん72牛乳』の紙パックを再利用したい」という声がきっかけです。当時は、一般的にはまだ環境問題やリサイクルへの意識が低く、牛乳パックの回収も少なかったのです。そこで、再生紙活用のリーディングカンパニーであるマスコー製紙（株）に相談しました。

加藤　当社は業界に先がけ再生資源の活用やごみ削減に着目。すでに飲料容器や紙パックの再生設備を導入し、紙芯なしの再生紙トイレットペーパーを作っていました。そんな再生資源の活用にこだわる当社の企業理念と、パルシステムの組合員の思いが一致し、『こんせん72牛乳』の紙パックを再利用したトイレットペーパー作りがスタート。当時『こんせん72牛乳』のパルプは未ざらしで、木の色が生きた茶色のまま。それを生かした『セピアフレッシュ』という名で商品化したのが始まりです。トイレットペーパーは白いものが主流で、リサイクルした茶色いものはなかったんです。それでもご利用いただけたのは、環境問題やリサイクルへの意識が高いパルシステムの組合員だからこそ。その後『こんせん72牛乳』の未ざらしパックが現在の白いパックに変更、さらに『り・さいくりんぐトイレットペーパー　シングル細穴』が登場。住宅設備の変化にともない、太穴も開発することになりました。

◆ソフト感を重視した再生紙の開発で工夫した点は

加藤　紙自体を薄くすることと、シワを多めに付けることです。そのため、紙自体を薄くする設備（紙をすく機械）を導入。さらに表面の細かいシワを従来品より多めに付け、一度つぶして厚みを薄くしてから巻き上げるようにしました。シワが伸びきっていないので、やわらかさが残ります。また、一般的な芯なしの穴は丸型ですが、当社ではギザギザを付けています。そうすることで最後まで紙がはがれやすくなり、紙芯も不要に。ただし、芯なしのトイレットペーパーは、ある程度の強度がないと衝撃でつぶれてしまうという点が、最大の課題でした。そのため、この技術をもつ製造メーカーは限られています。

組合員から回収した牛乳パックなどを圧縮したものがマスコー製紙（株）に届きます

マスコー製紙（株）に届いたものを溶かし、紙とその他の材料に分けます

資源循環し環境に配慮したくらしをめざす

◆再生紙の原料調達については

加藤　2022年度は組合員から回収した牛乳パックなどでトイレットペーパーの原料の65％をカバーできました。しかし、牛乳の消費量が減っていることなどから、再生紙原料の回収率が減少しています。回収で足りない分は購入して補っていますが、市場でもビジネス界や書籍などの電子化によるペーパーレス化のため、古紙は不足傾向にあり、高値になっています。

石川　しかも電気やガスなどの燃料費も高騰しています。こうした事情により今年１月から値上げという苦渋の判断をしました。今後もできる限り古紙を購入する割合を減らしていきたいと考えています。そのためにもぜひ牛乳パックなどをパルシステムに戻してください。

◆組合員に伝えたいことは

加藤　パルシステムと出合っていなければ、再生紙メーカーとしての技術もすすんでいなかったと思います。これからもみなさんから回収したものを大切に、トイレットペーパーを作り続けていきます。

末竹　組合員のみなさんは、牛乳パックなどをきれいに洗ってから出してくれるので、助かっています。

石川　「再生紙＝かたい」というイメージをもち、これまで使用していない方にも、やわらかな肌ざわりや、取り替える頻度が少なく使い勝手のよいことを実感してもらえると思います。そ
れが環境に負荷をかけないくらしにもつながります。この商品は、組合員のみなさんからの資源回収なしには作れません。これからもご協力をどうぞよろしくお願いします。