ロースハムスライス

原料は凍結しない冷蔵の国産豚肉。しかも無塩せき（発色剤不使用）で、リン酸塩も使っていません。ここまで原材料にこだわったものは、パルシステムならでは。一度食べれば、豚肉本来のうまみと脂のコクにあらためて驚きます。

『ロースハムスライス』について詳しく知ろう！

【今回お話をうかがった方】（2023年4月時点）

株式会社パル・ミート山形事業所　阿部豊さん
パルシステム連合会産直事業本部　幸島沙久良職員

国産豚肉を使った無塩せきのハムを約40年前に開発

◆パルシステムを代表する商品ともいえる本品。開発のきっかけは

阿部　首都圏生活協同組合事業連絡会議（現パルシステム）が未法人でスタートした1977年当初は、まだ赤く着色されたプレスハムが主流の時代でした。パルシステムのハムも、大手のメーカーが輸入した冷凍肉で作っていました。これに対して、組合員から「安心して口にできるものがほしい」との声が届くようになったのです。製造元に「国産豚肉を使い、無塩せき（発色剤不使用）でリン酸塩も使わないハムの開発を」と相談したところ、「できない」と即答でした。それなら自分たちで作るしかないと、豚肉の産直産地でいちばん古い「山形コープ豚」がある山形県で、自前でハム作りを始めました。でも素人が作るのですから失敗の連続でした。

◆むずかしかった点は

阿部　肉の結着性を高めるリン酸塩を使わないと肉がくっつかず、身割れしてしまうことです。また、無塩せきというのは〝亜硝酸塩（発色剤）を使わない製法〞のことですが、亜硝酸塩には肉の色をきれいに見せるだけでなく、じつは細菌の増殖を抑える働きもあります。ですから、とにかく日もちがしないんです。工場内の衛生面を徹底しつつ、失敗を繰り返しながら開発をすすめるという試行錯誤の連続でした。何とかかたまりのハムで供給できるようになった1983年に、当社の前身である会社を設立。今のようにスライスになったのは1987年からです。

左が発色剤を使わない本品。右は一般的な市販品。見た目の違いは歴然

一度も冷凍しない産直主体の豚肉もパルシステムならでは

◆原料肉について教えてください

幸島　本品の原料は一度も凍結していない冷蔵の国産豚肉。2021年度実績で、約90％が産直豚肉を使用しています。今でこそ市販品にも無塩せきや国産豚肉のハムもありますが、一度も凍結しない冷蔵の豚肉で作るものはなかなかありません。ここまで原料肉にこだわるのはパルシステムならではです。

阿部　冷凍肉を使うと、解凍時にうまみの成分を含む肉汁が流出したり、食感を損ないがちです。一方、本品は健康に育てた産直豚が中心。だから豚肉本来のうまみがしっかり味わえます。

◆市販品と製法は違いますか

阿部　無塩せき以外でいうと、製法は基本的には同じです。あえていうなら、市販品のなかにはスモークさせずにくん液などで人工的に香りを付けるものも。本品は桜のチップでスモークし、自然な色と香りを付けています。

◆2017年には「たん白加水分解物」を抜きました

阿部　たん白加水分解物は食品添加物ではありませんが、うまみやコクを出すために加えます。組合員から「使わないでほしい」という声が寄せられたことにこたえました。代わりに酵母エキスを使用しています。これまで支持されてきた味になるよう、数年かけて調整を重ねました。

肉に異物や小骨がないか点検しながら形を整えます

味付け後、筒状の袋に詰めて、熱をかけて乾燥

豚ロース肉のうまみがしっかり生きています

◆おすすめのポイントは

阿部　本品はチャーシューと精肉の間のような食感です。まさに肉を食べているのだということが実感できます。1枚が厚めなので、ハムカツにしてもおいしいですよ。

幸島　確かに〝肉感〞はすごいです。食品添加物にはできるかぎり頼らずに作っているのも自慢です。豚肉の味わいを生かしているのもおいしさの理由です。私はそのまま食べるのがいちばん好きです。

リン酸塩不使用だからこそ、崩れやすくて薄く切れないため、
スライスは厚め。手作業でやさしくパック

今年度で20周年！「私が選ぶ」シリーズ

「私が選ぶ」シリーズのハムやウインナーは、豚肉本来のおいしさを生かして作ったパルシステムのオリジナルブランドです。その背景には「世代を超えて愛される商品へ。添加物にできるだけ頼らないハムやウインナーこそが当たり前の世の中になるように」という思いが込められています。長年愛され続け、支えられ、2023年度で20周年を迎えることができました。