国産野菜メンチカツ（甘酢あん）

電子レンジや自然解凍で、手軽にお弁当や夕食に使えるメンチカツ。神奈川の生産者と製造メーカーのつながりがきっかけで、育て方が明らかな『産直たまご』の親鶏を有効活用しました。まろやかな甘酢味で子どもにも食べやすい一品です。

『国産野菜メンチカツ（甘酢あん）』について詳しく知ろう！

【今回お話をうかがった方】（2025年1月時点）

株式会社ニッコー青柳さん菊田さん
パルシステム連合会商品開発本部和田さん

神奈川の生産者と製造メーカーのつながりで誕生

◆開発のきっかけは「かながわまるっと」

青柳　神奈川県内のメーカー、生産者などのつながりを強めるために、2019年から、パルシステム神奈川が主催し、情報共有や意見交換を行う「かながわまるっと」という場が設けられるようになりました。その取り組みの一環で2020年に『産直たまご』の生産者である、神奈川中央養鶏農業協同組合を見学。同県内のメーカーである当社と同組合で商品が作れないかと意気投合し、卵を産み終えた親鶏を生かした商品の開発が始まりました。

◆育て方や飼料がわかる産直の親鶏

青柳　親鶏はしっかり育ったぶん、うまみが強く、深い味わいが特徴。肉に弾力があるので加工品に親鶏を使用するのはめずらしいことではなく、市販のハンバーグやミートボールなどにも多く使われています。

菊田　本品は育て方が明らかな『産直たまご』の親鶏を使っています。鶏の飼育は、温度や照明を人工的に管理しやすい〝窓のない鶏舎〟が一般的。一方、神奈川中央養鶏農業協同組合では、太陽の光と外からの風が入る、できるだけ自然に近い環境で育てています。また、同組合をはじめとする『産直たまご』の親鶏の飼料には遺伝子組換え作物が混入しないよう分別生産流通管理したとうもろこしを使用。コストはかかりますが安全・安心を追求しています。

具の野菜は大きめに切り、シャキッとした食感を生かしています

子どもに野菜を食べてほしいから国産野菜も配合

◆より手軽で子どもにも安心の商品に

青柳　時代のニーズに合わせ、「電子レンジや自然解凍が可能で、手軽にお弁当や夕食に使える」をこの商品のコンセプトに。味付けは商品カタログでも人気の甘酢味で、と考えました。32年前、パルシステム向けに家で揚げるメンチカツを作っていた当社のノウハウを生かしつつ、『産直たまご』を産んだ親鶏を有効活用するため、まずは肉が鶏肉のみのメンチカツを試作しました。

和田　しかし鶏肉だけではコクが足りないように感じ、豚肉を入れることを提案。豚肉と鶏肉を合わせることでうまみの相乗効果が生まれ、いっそう味がよくなりました。

青柳　当社は「自分の子どもに安心して食べさせられる食品をつくる」のがモットーです。その一環で、製造工程で出る野菜の皮や端材を肥料に利用した自社農園を始めました。化学合成農薬は使わず、化学肥料もできるだけ使っていません。子どもに野菜を食べてほしいという思いから、本品に配合した４種の野菜の一部に自社農園で栽培した人参を使用しています。

◆2度の殺菌工程で自然解凍が可能に

菊田　自然解凍食を可能にするためには中心までしっかり火がとおっており、再加熱しなくても細菌が抑えられている状態でなければなりません。当社で自然解凍できる商品は１個20ｇがいちばん大きな規格でした。しかし本品は、夕食やお弁当に使える規格として40ｇで開発。そのボリュームで細菌が抑えられるのか何度も検証を重ね、殺菌の工程を追加することにたどり着きました。メンチカツを揚げてたれ付けしたあと、仕上げに蒸気殺菌しています。

甘酢たれをからませることで野菜が苦手なお子さんにも食べやすく　

自社農園の野菜は、本品以外にも一部の商品に活用しています

◆組合員へのメッセージは

青柳　次は、パルシステム神奈川の子会社「ハートコープ神奈川（※）」のしいたけを使って商品を作れたらと思っています。同社を知ったのも「かながわまるっと」でした。そんな地域のつながりを大切にしていきたいと思います。
※一般企業で働くことが困難な方が利用できる、就労継続支援B型事業所。

開発のきっかけをもっと詳しく！「かながわまるっと」

地域の輪を広げて新たな取り組みを発見

「農商工消連携」が“新化”！
地域活性化をめざし、2012年から神奈川県内のメーカー･生産者の連携に取り組んできた「農商工消連携」が原型。さらに地域連携をひろげるために、より多くの県内産地やメーカーが参加して「かながわまるっと」に新化しました。各参加者の事業内容や商品、未利用資源の情報交換を行っています。「かながわまるっと」で行った2020年1月の神奈川中央養鶏農業協同組合の見学がきっかけとなり、本品が開発されました。

交流でひろがる地域のつながり
2024年2月には、産学連携に取り組む神奈川県内の大学生が初参加。産地やメーカーだけでなく、学生自身の学びをも深めています。