• 産直たまご・産直牛乳・パン

産直こめたまご(赤玉またはピンク玉)

輸入飼料に頼らないしくみづくりに向けて
親鶏の飼料に国産飼料米を20%以上配合

『産直こめたまご(赤玉またはピンク玉)』について詳しく知ろう!

【今回お話をうかがった方】(2016年4 月時点)
神奈川中央養鶏農業協同組合 専務理事 彦坂誠さん
パルシステム連合会 産直開発課 横澤雅恵職員

輸入飼料の高騰をきっかけに始まった国内自給の取り組み

光と風があふれる鶏舎

 パルシステムには『産直こめたまご(赤玉またはピンク玉)』(以下「産直こめたま ご」)というちょっと耳慣れない名前の卵があります。鶏のおもな飼料は輸入とうもろこしですが、「産直こめたまご」は、飼料全体の20%以上を国産の飼料米に置き替えた卵のこと。組合員のみなさんからは「あっさりしていて子どもがいくつでも食べます」「普通の卵にある独特のにおいがほとんどなく、さっぱりしています」と好評の声をいただいています。

 パルシステムの卵は一般に流通する卵とは異なり、生産者が組合員のみなさん のために生産したもの。生産者は親鶏に与える飼料のとうもろこしを非遺伝子組換え原料に限定し、太陽の光と風が通り抜ける、できるだけ自然の環境に近い鶏舎で飼育。飼料の保管や鶏舎の管理に人手や手間はかかりますが、「親鶏自身が気持ちよく健康に育つからこそよい卵が生まれる」という考え方のもとで、より安心して食べられるおいしい卵のお届けをめざしています。

 そんななか「産直こめたまご」が登場したのは、北米の大干ばつに端を発した2008年の世界的な穀物価格の高騰がきっかけでした。「いま日本では、飼料用とうもろこしを輸入に頼らざるを得ないのが現状です。高騰した飼料価格を商品価格に転嫁させることはできず、当時生産者は深刻な打撃を受けたのです」。パルシステム連合会商品開発本部の横澤職員は、そう振り返ります。

 

 世界経済の変動などに翻弄されず持続可能な生産を行うためには、飼料を国内自給できるしくみが不可欠です。「日本で自給できる穀物といえば米。そこで着目したのが、後継者不足などで耕作放棄地となった田んぼで作る飼料米でした」(横澤職員)。こうして約1年の準備期間を経た2009年、まずは飼料の10%に飼料米を配合した「産直こめたまご」が誕生したのです。

多くの人のネットワークで飼料米利用のしくみを実現

飼料米専用の保管庫を新設

 神奈川中央養鶏農業協同組合(神奈川県)も「産直こめたまご」の産地のひと つです。輸入飼料に依存した危うさはそれまでも肌身で感じてきたこと。専務理事の彦坂さんは、パルシステムの提案に「背中を押された」と話します。

 とはいえ、鶏の飼育と採卵についてはプロ集団でも、米や米作りに関してはまったくの門外漢。取引をしてくれる飼料米産地の開拓から、米をどのように保管し、ほかの配合 飼料と混ぜ合わせればよいのかまでイチからしくみをつくっていかなければなりません。このとき取り組みを支えたのが「パルシステムの生産者同士のネットワークでした」(彦坂さ ん)。はじめは近郊の産地と、次にはパルシステムの米の産直産地であるJAえちご上越(新潟県)、JAやさと(茨城県)と、つながりが広がっていきました。

 「その米をどうやって保管するかについても、知恵を貸してもらいました。通常市場に流通するのは玄米です。しかし玄米は夏場の高温多湿な環境ではカビて使いものにならなくなってしまいます。相談するうちに、もみ付きの米なら冷蔵倉庫がなくても通年で保管できることがわかりました」(彦坂さん)。

 米の保管にめどがつくと、次は配合の方法です。米以外の飼料は、飼料会社か らバルク車という大型トラックで運ばれてきます。しかし細かく砕いた配合飼料ともみ付きの飼料米は、形も比重も違うために、まんべんなく混ぜ合わせるためにはひと工夫する必要があります。彦坂さんたちが考えたのは、バルク車のタンクに飼料米を加え、混ぜ合わせながら鶏舎のタンクに移す方法でした。

 「この方法は飼料会社や運送会社の協力なしには成り立ちません。パルシステ ムの米やほかの卵産地の生産者とのつながりも含めて、多くの人の協力やネットワークがつながってこそ、〝産直こめたまご〞は実現したのです」(彦坂さん)。

「産直こめたまご」がひらく 食の国内自給への道

丹沢の豊かな自然に囲まれた神奈川中央養鶏農協

 2009年に飼料米の配合率10%でスタートした「産直こめたまご」は、2013年には 20%以上に。パルシステムでは飼料自給に向けて一歩ずつ歩みを進めています。

 配合率を上げることになった直接のきっかけは、「2011年の東日本大震災で飼料の供給が途絶したこと」(横澤職員)でした。輸入飼料の多くは東北沿岸部の荷揚げ施設に備蓄されますが、大地震と津波によって施設は壊滅的な被害を受け、飼料が途絶した産地では多くの家畜のいのちが失われたのです。

 「一方で飼料米を備蓄していた産地では家畜は生き続けることができました。 このとき学んだのは、飼料の国内自給がいかに大切かということ。そこでより多くの飼料米が利用できるように、米農家のみなさんにいっそうの協力をお願いしました」(横澤職員)。

 飼料穀物のなかには、渋みを感じるタンニンが多く含まれているために使用に注意が必要なものもあるといいます。「そのなかで米はそもそも人間が食べておいしいように作られてきた穀物。身近な食べ物として、利用する私たちにとっても安心感があります。何よりも、飼料米を利用することで使われなくなっていた田んぼをよみがえらせ、現在の食の輸入依存を少しでも改めることができます。これからも“産直こめたまご〞の取り組みを広げていきたいですね」(横澤職員)。

 多くの人たちの努力と共感から歩みを進めてきた「産直こめたまご」。ぜひ一度ご利用ください。

『産直こめたまご』が届くまで

  1. step01

    お届け2〜3日前:採卵

    各農場から、生まれた卵をGPセンター(鶏卵選別包装施設)に集荷します。

  2. step02

    お届け2日前:検査・殺菌・包装

    GPセンターで卵の洗浄、殺菌、サイズの選別、 包装などを行います。

    ブラシで洗浄後に乾燥させ、自動サイズ選別機で選別

    当日または前日に採卵したものをパック

  3. step03

    お届け1日前:セット

    コンテナに詰め各セットセンターに向けて出荷します。

  4. step04

    お届け日

    組合員のみなさんのお宅へお届け!

    ※ 遠隔産地など、お届け3日前にパックしている産地もあります。

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※本ページの内容は2016年4月時点の情報です。
商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。