生からつくったさんま三枚おろし
抜群の鮮度と凍結フィレならではの使いやすさお刺し身はもちろん洋風料理にも
秋の味覚の代名詞ともいえるさんま。その漁期は8月下旬からのほんの数カ月ほど。『生からつくったさんま三枚おろし』は、この時期に水揚げされた獲れたての生さんまを利用して作られています。2009年にパルシステムと産直提携を結び、本品の開発、製造を行う釧路市漁業協同組合(北海道)の取り組みについてお話をうかがいました。
『生からつくったさんま三枚おろし』について詳しく知ろう!
- 【今回お話をうかがった方】
- 北海道漁業協同組合連合会 濱名拓郎さん
パルシステム連合会 水産課 竹上正樹職員
海の産直で商品の利用と日本の水産業の再生をめざす
近年、漁業者の高齢化や減少、消費者の魚離れが深刻化しているといわれる日本の水産業。また、世界的に魚の需要が高まっていることや乱獲による水産資源の枯渇など、海や日本の水産業を取り巻く環境そのものも厳しさを増しているのが現状です。そんな状況を踏まえ、パルシステムでは、水産業との産直提携を進めることが課題となっていました。
「産直提携は商品の安定した生産と供給が前提です。その意味で漁獲量が読めない水産業は産直提携がむずかしく、パルシステムでも農畜産業に比べて遅れをとってきたことは否めません。しかしそこを産地との協力で乗り越え、海の環境保全や日本の水産業の支援につなげていく。そのためにパルシステムでは、各地の水産産地との連携を模索してきました」(竹上副主任)
漁獲可能量を設定されているさんまは、幸いなことに、現在国内自給率100%。パルシステムでは、このさんまを利用した『パクパクさんま』や『糠さんま』などの商品づくりで信頼関係を築いてきた釧路市漁協に着目。2009年、北海道漁連、釧路市漁協、パルシステムの間で産直提携が実現しました。
責任ある製造体制の確立によって産直提携が可能に
釧路市漁協はししゃも漁のほか、沿岸でほっけやかれいなどの刺し網漁を行う漁協です。一方、釧路港自体は北海道や三陸の船団のさんまの水揚げがある、道内では根室花咲港に次ぐ漁業基地です。
「釧路市漁協ではこの豊富な水産資源を生かそうと1998年に自前の加工工場『総合流通センター』を開設し、地域ぐるみで水産品づくりを進めてきました。『生からつくったさんま三枚おろし』もその経験から生まれた商品です。さんまは足が早いのでお刺し身は産地でしか食べられてきませんでした。それを、遠方の組合員のみなさんに食べていただく商品に、と企画したのです」(濱名さん)
道東沖合いのさんまの漁期は8月下旬から11月近くまで。年間の原料さんまのすべてはこの間に漁獲されます。
「通常のさんまの加工品は、この時期に水揚げし、いったん冷凍したさんまを原料にしています。これに対して本品の原料は文字どおり生のさんま。新鮮でなければ作れないので、釧路から日帰りできる漁場で獲ったさんましか使わないことを条件にしているぐらいです」
そのため釧路市漁協の「総合流通センター」では、本品のために通常のさんまの加工品とは別の専用の製造体制を整えることに。 「産直提携のむずかしさは、産地にとっては水揚げ量が読めないことよりも、工場の体制をやりくりすることでした」。それを乗り越えて初めて産直提携のなかで本品を製造することが可能になったと、濱名さんは当時を振り返ります。
安定した質、量を支える技術を導入
それでは工場で本品はどのように作られているのでしょうか?
本品の特徴はきれいにおろしたフィレが一枚一枚バラバラに凍結されていること。この特質を支えているのが、「さんまフィレッサー」と「トンネルフリーザー」という機械です。
「工場ではまず、さんまをフィレッサーにかけ頭、尾、内臓、中骨などを取り除いてフィレにします。この段階では内臓や小骨などが取り除ききれないことがあり、組合員のみなさんからも指摘があったため、こうした雑物を除去する人員を増員しています」
雑物を取り除いたフィレは洗浄し急速凍結の工程に入ります。
「このときに使うのがトンネルフリーザーです。ベルトコンベアーの上に並べられたフィレはマイナス48℃で約7分間トンネルの中を 通り抜けます。するとトンネルを出てきたときには、一枚一枚が薄い板状に凍っているわけです」
これらの機械を利用することで、年間の総販売量を数カ月という限られた漁期の間に製造することが可能に。また均一な品質でバラ凍結ができるために、使う量だけ取り出して残りは冷凍しておくこともできるという、利用者にとってはありがたい使い勝手の良さが実現したのです。
「魚をもっと食べたい」にこたえる商品づくり
こうして組合員のみなさんの手元に届く『生からつくったさんま三枚おろし』。「魚をうまくさばけないのでとても助かります」「適度に脂がのっていて鮮度が抜群」「ソテーしてトマトソースをかけイタリアンでいただきます」といった支持の声からは、魚離れがいわれるなか、本当は組合員のみなさんが「いろいろな調理法でもっと魚を食べたい」と願っていることが伝わってきます。
そんな利用者のメリットに対して、生産者にとって産直提携のなかで商品を作ることのメリットとは何でしょうか?
「やはり安定した量を受注できるパルシステムという利用先が見えていること、そのために年間の販売量が読めることだと思います」(濱名さん)。竹上副主任もまた「大手スーパーが一船買いをしたというような話もありますが、継続的な取り組みでなければ長い目で見たときにお互いのためになりません。産直提携は、将来の担い手が経営的な不安を感じることなく日本の漁業を支えていくために、大切なしくみだと思います」と語ります。
最後に本品の解凍のコツをうかがうと、「お刺身でいただくときは解凍しよう、と思わなくても大丈夫です。ごはんを炊き始めたころに冷凍室から取り出し、表面が溶けたぐらいで皮をむいて切ると上手に切れますよ」(濱名さん)とのこと。旬のおいしさをたっぷり、しっかりと閉じ込めた本品。まずはぜひ、お刺し身で味わってみてください。
『生からつくったさんま三枚おろし』ができるまで
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step01
セリにかける
水揚げさんまは市場でセリにかけら れ、すぐに加工工場に運ばれます
漁期にはほぼ毎日セリが行われます。
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step02
三枚におろす
さんまフィレッサーにさんまを1尾ずつ並べ、頭、尾、内臓、中骨などをカットします。
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step03
洗浄
雑物を取り除いて洗浄し、不良品を除去します。
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step04
凍結
トンネルフリーザーにフィレを1枚ずつ並べ、マイナス48℃、約7分間で急速凍結します。
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step05
計量・袋詰め
手作業で一袋に5〜7枚(195g)のフィレを詰めていきます。
パルシステムの水産方針
- 一、海の環境を保全し、水産資源を持続的に利用する取り組みを行います。
- 二、日本の水産業再生に取り組みます。
- 三、水産物の安全を追求します。
- 四、日本の魚食文化を大切にします。
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※本ページの内容は2015年11月時点の情報です。
商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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