• 惣菜(冷蔵、冷凍、軽食)

地塚納豆

日本の在来種・地塚大豆を使用しっかりした食感の小粒納豆「地塚納豆」。豆のおいしさと食べやすさを両立

  納豆向けに小粒大豆品種が開発されるまで大粒納豆 が中心だった市場で、小粒納豆の歴史は意外に浅く、登場したのは60年ほど前のこと。茨城県北で栽培されていた地塚大豆で納豆を作ったところ、糖度の高いうまみのある納豆ができたのをきっかけに全国に広まって いったのだといいます。その地塚大豆を使った「地塚納豆」がパルシステムに登場して10年。変わらぬ味を守り続けたのは、作り手の技と誇りでした

『地塚納豆』について詳しく知ろう!

【今回お話をうかがった方】(2012年4月時点)
株式会社ミツカン東日本支社 神林弘幸さん
金砂郷食品株式会社 永田由紀夫さん(取締役副社長)
パルシステム連合会 日配課 乙成公茂職員

ロングセラー「地塚納豆」を終わらせないために

 パルシステムの商品カタログに並ぶ納豆。どれを選べばよいのか迷ってしまう方もいるかもしれませんね。でも一度食べ比べてみると、それぞれが思いのほか異なっていることがわかります。「地塚納豆」の特徴は、豆の一粒一粒につやと心地よい歯ごたえがあること。そんな存在感ある豆でありながら、納豆特有のにおいは抑えめなこと。そして紙カップ入りで利用しやすいことなどが挙げられるでしょう。このような特性から、「地塚納豆」は“地塚派”ともいえる熱心なファンに支えられてきました。

 ところが昨年2011年1月、製造元の旭松食品が納豆事業から撤退するのにともない、「地塚納豆」の製造も3月をもって終了することが決まります。

 

 「報告をいただいてから生産終了まで3カ月しかありませんでした。でも多くの組合員のみなさんが待っている商品ですから、お届けをとぎらせるわけにはいきません。4月からの販売に間に合わせるために、従来の“地塚納豆”を継続して供給できる納豆メーカーを急きょ探すことになりました」(乙成職員)。製造の条件は、「“地塚納豆”とまったく同じ」こと。パルシステムでは旭松食品の納豆事業を受け継ぐ(株)ミツカンに相談を持ちかけました。

 「食品は、同じ原料で同じ作り方をしても、工場やそのメーカーがもっている技術力によって、でき上がりが微妙に違ってくるものです。“地塚納豆”を忠実に再現できるメーカーとして私たちが選んだのが、金砂郷(かなさごう)食品(株)でした」(神林さん)

独自の製法から生まれる「地塚納豆」らしさ

 金砂郷食品は茨城県常陸太田市にある納豆製造会社です。前身は60余年前に小粒納豆の草分け「くめ納豆」を世に送り出したメーカーでもあり、納豆作りに長い伝統をもつ会社でした。さらに、「以前からパルシステムがよい商品を扱う生協だと知っていたので、大いに意気込みました」と、永田副社長は要請を受けたときの気持ちを語ります。「“地塚納豆”とまったく同じ」とは、その独自の作り方も指していました。

 

 「“地塚納豆”の独特の食感や味わいは、においを強く出さない種類の納豆菌を使用するほか、その作り方からも生まれます。まず、大豆の食感が残るように、一般の納豆よりも、蒸煮(じょうしゃ)時間を短くします。次に、通常は発酵が終わったら出荷に備えてすぐに冷蔵に入るところを発酵時間は短くし、かわりに『低温熟成』という工程を設けています」(永田副社長)

 発酵をいったんストップさせることで、食感を残しながらも、豆の内部までしっかり発酵した納豆を作り出すことができるのです

試行錯誤、大震災を乗り越えて製造再開

 しかし、言うは易し。

 「私たちがいちばん恐れていたのは、作った納豆を組合員のみなさんに“地塚納豆”として認めていただけないことでした。ところが、納豆作りに長年の経験のある私たちが何度試しても、同じ味、同じ風味が再現できないのです。完成された製品と同じものを作るのはこんなにむずかしいものか、新規で開発したほうがよっぽど楽だと思いましたよ」(永田副社長)

 当時をそう振り返るほど、「地塚納豆」の再現は難事業だったと言います。金砂郷食品では1カ月余り、試作品を作ってはパルシステムに送り続け、OKが出たのは4月1回の販売にぎりぎりで間に合う3月に入ってからのことでした。

 3月11日のその日、金砂郷食品では、4日後の15日にパルシステムの担当者が訪れて行う最終チェックに向けて、最後の確認作業に追われていました。熟成期間に入るために、商品はほぼ製造完了。そこへ震度6強の地震が発生、揺れは3分ほども続きました。

 「天井からダクトが落下して下の機械を壊したり外壁が崩れ落ちたり、被害は甚大でした。電気や水道などのライフラインもストップしてしまったので、苦労して作った商品もすべて廃棄せざるを得ませんでした」(永田副社長)

 食品工場は衛生管理が完璧でなければ稼働させることはできません。6月半ばすぎ、3カ月ぶりに全従業員が再会し、いざ始動というときにまず行ったのは、工場の天井から床までを全員でアルコール消毒することでした。そして、一度は完成させた金砂郷版「地塚納豆」の記録をもとに、納豆作りへの再挑戦が始まったのです

作ることへの誇りが伝統を支える

 それまでも「地塚納豆」には、「ほかにはない納豆らしさ、豆の食感がおいしくて毎週欠かせません」といった声が寄せられていましたが、震災からの復活にあたっては「再開されるという記事を読みうれしくなりました。粒の大きさ、歯ごたえ、風味。地塚納豆がわが家の一番です」といった声も寄せられています。そこには作り手への慰労や感謝とともに、震災から4カ月が経ち、日常が戻りつつあることへの安堵や喜びが込められているようです。金砂郷食品でもまた、生協の納豆は組合員のみなさんとの「約束の納豆」だと語ります。

 「社員全員で確認しあうことですが、この納豆は組合員のみなさんに品質、味とともに確実にお届けすることを約束した納豆です。そういう意味で私たちにとっては特別な商品です。ですから『前と同じでおいしい、ありがとう』と言っていただけるのがいちばんうれしいし、励みになりますね」(永田副社長)

 震災前と変わらない「地塚納豆」が私たちの手元に届くこと。それは、作る人が長年培ってきた商品を作ることへの思い、そして誇りに支えられてのことなのでしょう。新入園や新入学など、家族の新生活をととのえるにあたって、ぜひ作り手の思いが込められた商品の力を感じてみてはいかがでしょうか?

『地塚納豆』のアレ・コレ

  1. step01

    浸漬(しんせき)

    原料の乾燥大豆をよく洗ってから水に漬け、やわらかくします。

  2. step02

    蒸煮(じょうしゃ)

    やわらかくなった大豆を蒸煮釜で、50分〜 90分煮ます。

    蒸煮釜は大きな圧力釜のようなもの

  3. step03

    納豆菌植菌

    蒸煮釜から出した煮豆に、すぐに納豆菌(液体)を噴霧します。

    熱さとの闘いです!

  4. step04

    盛込

    容器に、納豆菌をつけた煮豆を盛り込み、被膜をかけてシールでふたをします。

    「たれ・からし付」は、この段階で被膜の上に添付します

  5. step05

    発酵

    「室」と呼ばれる部屋で、38度〜 40度で発酵させます

  6. step06

    低温熟成

    熟成庫で、マイナス2度〜0度で2日〜5日熟成します。

  7. step07

    包装

    3連パックで包装し出荷準備完了。

糖質が多い『地塚納豆』

納豆菌のエサは糖質。納豆菌が糖質を分解しアミノ酸が増えることで、大豆はおいしい納豆になるのです。地塚大豆が「納豆用」と呼ばれるのはそのためです。

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『地塚納豆(たれ・からし付)』
『たれ・からしなし地塚納豆』

※本ページの内容は2012年4月時点の情報です。
商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

※本ページの内容は2012年4月時点の情報です。
商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。