パルシステムの人参
「健康な土づくり」をいち早く実践元気な産地で育てられた、甘みの濃い人参
「人参は苦手なうちの子が、これなら喜んで食べてくれる」といった、たくさんの声が寄せられるパルシステムの人参。そのおいしさの訳は、どこにあるのでしょうか。今回は、人参産地のひとつである佐原農産物供給センターを訪れ、これからますます甘みを増す人参の栽培法や産地の取り組みなどについて伺いました。
生協と意見を交わし、ともに成長してきた産地
佐原農産物供給センターのある香取市は、千葉県の北東部に位置し、茨城県との県境にあります。この地域は、水はけの良い火山灰土壌をもつ北総台地の一角。古くから水郷の町として栄え、さつまいもや人参など、おいしい根菜が育つ土地としても知られるところです。
6名の生産者によって、佐原農産物供給センターが設立されたのは1981年9月のこと。茨城県の生協との鶏卵取引に始まり、翌82年1月には、パルシステム千葉の前身である下総・花見川両生協と鶏卵および野菜の取引を開始しました。
「つくる側と食べる側は、お互いに意見を言い合える存在でありたい。それをできるのがパルシステムの良さですね。組合員の皆さんからもいろんな声をいただき、それを取り組みとしてこなすことで、産地にも力がついたと思います。それに、パルシステムで個配が始まった頃から、産地でも冷蔵庫や広い集荷場が必要になりました。パルシステムの伸びと同じように、産地も成長したといえるでしょう」と、佐原農産物供給センター代表理事の香取政典さんは生協との歩みを振り返ります。
緑肥や太陽熱殺菌による薬剤に頼らない人参栽培
現在では、千葉県と茨城県の広範囲に生産者がいます。約130名を数える生産者たちは、各部門、品目ごとに委員会をつくり、生産技術の向上や安定した供給を図っています。
各部会が協力して取り組んでいるのは、できるだけ農薬に頼らない生産。現在、同センターでは、すべての野菜で減農薬栽培を実現しています。さらに、女性部の「農め〜くくらぶ」や青年部の「若造くらぶ」の活動が盛んなことも、同センターの特徴です。
そんな元気な産地で育てられたのが、今回紹介する人参です。人参栽培でとくに大変なのは、土中線虫による病害対策と雑草対策。人参は、雑草が増えると出た芽が生育しなくなり、その畑はあきらめなくてはならないほどデリケートな野菜です。
同センターでは、人参の種をまく前にまず麦を畑で育て、すき込みます。麦は線虫を防ぐとともに、緑肥になり、畑に水分を蓄えて人参の発芽を促す役割も。その後、全面に有機質肥料をまいてから、マルチ(畑の土を覆うシート)を張ります。
マルチの目的は、太陽熱を利用した土壌消毒。6〜7月にマルチを張ることで土壌を50℃以上の高温状態にし、線虫や雑草の種を駆除するもので、土壌くん蒸剤や除草剤を使わないための対策です。
ただし、マルチによる太陽熱の殺菌力が及ぶのは地表から5〜10 ㎝のみ。日照温度が低いと効果もありません。
真冬には土壌消毒剤や除草剤を一切使わない『エコ・人参』も
「おいしい野菜を育てるには、健康な土づくりから。まず土を調べ、有機質肥料や緑肥、堆肥を、その作物が必要とする量だけあげればいい。与えすぎると害になります。じっくりと時間をかけて丈夫に育てた方が、虫もつきにくいです」。千葉県が定める秋冬人参の慣行栽培レベルでは、化学合成農薬(成分回数)は18回。これを、同センターでは特別栽培基準である9回に抑えています。
暑い季節に種をまくものには、どうしても最低限の除草剤を使わざるを得ませんが、12月〜2月、5月下旬〜7月には、土壌くん蒸剤や除草剤を一切使用しない『エコ・人参』の出荷が可能になります。「つくる側も、農薬を使わずに済むのであれば、使いたくない。『エコ・人参』といっても、天候さえ良ければ、無農薬で育てているところも多いですよ」。パルシステムの人参が「味が濃くておいしい」「甘さが際立っている」「くせが少なく食べやすい」と大好評なのは、手間と時間と愛情をかけて健康に育てられているからなんですね。人参は鮮度を保つため、泥付きでお届けしています。軽く洗って水けをふき、ビニール袋などに入れて冷蔵庫で保存して下さい。
組合員は産地を、生産者は食卓を知る“相互理解”を
「生産者と生協の組合員の皆さんは、つくる、食べるだけの関係でなく、お互いの立場を知ることが大切。ぜひ産地へ来て、どんな人がつくっているかを見てほしいですね。逆に、生産者には、パルシステムの組合員になることをすすめています。商品カタログを見ることで、いま何が求められているかを知ることができるし、野菜がどんな状態で届くかわかって、問題意識も生まれます。つくることにこだわるとともに、食べることにもこだわってこそ、本物だと思うんですよ」と香取さんは語ります。
また、「生産者カードに返事をいただけるとうれしいですね。良いことでも、悪いことでも、生産者へダイレクトに声が伝わるほうが良い。組合員の皆さんのひと言が産地に返ってくることで、生産者がやる気を起こし、産地も成長することができます」と話すのは、同センター職員で「若造くらぶ」のメンバーでもある青柳宏幸さん。「泥を落とし、ていねいにシワをのばした生産者カードで返事をいただくと、本当にうれしいですね」と「農め〜くくらぶ」の香取千恵子さんも話を継ぎます。
産地を元気にするもしないも、組合員次第。皆さんもぜひ、収穫祭や料理講習会に参加したり、直接声を届けたりして、産地との交流を深めませんか。そして、元気な産地で健康に育った人参のおいしさを、この秋冬も食卓でじっくりと味わってみて下さい。
パルシステムの人参で、人気の野菜スイーツにチャレンジ!
人参ケーキ(レシピ提供:農め〜くくらぶ)
【材料 16〜18cmのパウンド型1台分】
- 人参・・・・・・中1本(約200g)
- ホットケーキミックス・・・・・・200g
- 卵・・・・・・・・・3個
- 砂糖・・・・・・・110g
- レモン汁・・・・1/2個分
- サラダ油・・・・小さじ2
- シナモン・ナツメグ・・・・各小さじ1/3
【作り方】
- 人参はすりおろす。
- 卵に砂糖を加えて混ぜ合わせ、1を入れてレモン汁と油を加え、泡立て器で混ぜる。
- ホットケーキミックスとシナモン、ナツメグを合わせてふるいながら入れ、軽く混ぜる。
- オーブンシートを敷いた型に3を入れ、180℃のオーブンで約35分焼く。
元気な産地を支える「農め〜くくらぶ」と「若造くらぶ」
約40名の女性で構成される「農め〜くくらぶ」は1998年設立。組合員との交流の最前線に立ち、料理講習会などにひっぱりだこです。「以前は、自分たちの野菜がどこに行くのかもわかりませんでした。でも、組合員の皆さんと交流する機会が増え、食べる人の思いや要望を直接聞くことで、生産への意欲もわいてきましたね。ですから、組合員の皆さんに育ててもらったという思いがあるんですよ」(香取千恵子さん)。
「若造くらぶ」は2002年設立。16名のメンバーが、他産地の青年部との交流会や研修、勉強会など積極的に活動しています。「ゆくゆくは『農め〜くくらぶ』の交流を分担し、活動を広げていきたいですね」(青柳さん)。
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※天候などの影響により価格・規格などが変更になる場合があります。
※本ページは2007年10月に公開し、2015年11月一部更新しました。
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