エコ・ほうれん草
除草剤や土壌消毒剤を使わず育てた肉厚で甘みの濃いほうれん草
ビタミンやミネラルを豊富に含むほうれん草は、秋冬がもっともおいしい時季。収穫や出荷に大忙しの近郊産地のひとつ、茨城県のJAつくば市谷田部産直部会では、「組合員のみなさんに安心して食べてもらいたい」と、こだわりの土づくりや資材の活用によって、できるだけ農薬に頼らない栽培に取り組んでいます。
生産者たちが当番制で各生協へ納品していた時代も
「当時は、保冷車も持ってなかった時代。生協からは『モノがあまりよくない』と言われたこともありました。最初の頃に納めていたのは、ねぎ、ほうれん草、里芋、さつまいも、しいたけなど。産直部会のメンバーが当番制で、仕事を終えた夜8時頃から、パルシステム千葉やパルシステム埼玉などの前身生協へ個別に配達をしていたんですよ」。
「県の補助事業を利用して、保冷車や運搬車などを増やしましたが、品目や供給量もどんどん増加したので、配達は業者に依頼するように。その後、生協に岩槻セットセンターができてからは一括納品になりました」。
産直部会のほうれん草はコクと甘みが特徴
産直部会とパルシステムの取引が始まって、20年以上。今回は、取引開始当初から扱いのある野菜のなかから、冬においしいほうれん草を紹介します。
ほうれん草といえば、ポパイの漫画でもおなじみの栄養価の高い野菜ですが、そのパワフルなイメージとは逆に、水はけのよいところでしか育たず、酸性の土地を嫌うデリケートな作物。「ほうれん草ができる土地なら、どんな野菜でも育つ」と言われるほどです。
火山灰土で水はけのよい谷田部の土壌は、もともとほうれん草の栽培適地でした。それに加え、土づくりには、牛糞堆肥を10aあたり3t入れるほか、地元のしめじ栽培のおがくずを使ったオリジナル堆肥を使用。肥料は有機70%の産直部会専用のものを使っています。
産直部会のほうれん草がおいしいのは、谷田部の水はけのよさだけではなく、土づくりへのこだわりがあってこそ。市販のものと比べてみると、葉は肉厚で味にコクがあり、甘みも濃いのが特徴です。
薬剤に頼らず防虫ネットやマルチを活用
産直部会では、農薬を使用しないことを前提とした栽培に取り組み、害虫の侵入を防ぐ防虫ネット、除草や土壌消毒に役立つマルチ(畑の土を覆うシート)を使うなど、さまざまな工夫を重ねてきました。そのため現在、産直部会のほうれん草はすべて、パルシステムが定める削減目標農薬、除草剤、土壌くん蒸剤を使わない『エコ・ほうれん草』の基準を満たしています。
「気温が高いと虫が多くなるので、4〜6月は防虫ネットを使います。また、マルチは7月の梅雨の間、畑が湿っているうちに敷いて乾燥を予防します。こうすると、8月の暑い時期、太陽熱で土壌殺菌ができるうえ、除草効果もあるんですよ。8月末にはマルチを取って種をまき、9〜10月にはまた防虫ネットをはりますが、それ以降は普通の栽培になります」と、生産者は説明します。
「マルチは女性生産者にとっても助かる存在。8〜10月に順次、種をまいていくのですが、7月にマルチを敷いておくと土がやわらかいままなので、女性一人でもラクに作業できます。マルチがないと、土がカチカチに乾いて種がまけず、芽も出にくくて大変だったんですよ」
ひと霜ごとに甘みを増す今が旬のおいしさ
生産者たちが手間ひまをかけ、大切に育てたほうれん草。そのコクや甘みを充分に楽しむには、シンプルな調理法が一番だそうです。「やはり、おひたしやごまあえがおいしいですね。ハムと炒めたり、シーチキンとあえてしょうゆで味付けしてもいいですよ」と女性生産者はアドバイスします。
家庭へ届いたあと、すぐ食べるなら、袋のまま冷蔵庫へ。畑と同じ状態で、立てて保存するほうが長持ちします。一度に食べきれないときは、ゆでて1回分ずつ小分けし、冷凍しておくと便利です。
「産直部会のほうれん草は、ほとんどが露地もの。露地ものは見た目こそ悪いけれど、食べてみれば、やはり味が違います。これから寒くなって霜にあたると、さらに甘く、おいしくなりますよ。ぜひ食べてみて下さい」と小川さん。
しかも、冬穫りほうれん草には、夏穫りの3倍ものビタミンCが含まれています(五訂食品成分表による)。甘みがあって、栄養価も高いほうれん草。とくに寒い日の夕食には、鍋の具やシチューの彩りなどにもおすすめです。
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『エコ・ほうれん草』
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※本ページは2007年2月に公開し、2015年11月一部更新しました。
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