うめてば豆腐(ブロー豆腐)
なめらかな口あたりの中に大豆の味がしっかり ささかみとの交流から生まれた人気の充てん豆腐
パルシステムの産直米産地としておなじみのJAささかみ(新潟県)(以下ささかみ)では、米とともに大豆など、ほかの作物も生産しています。その大豆を原料に使った『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』が生まれて今年で 10年。誕生から今日に至るまでの歩みは、生産者・組合員・パルシステムの共感が生み出し、支え続けたものでした。
『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』について詳しく知ろう!
- 【今回お話をうかがった方】(2012年7月時点)
- 株式会社ささかみ 加藤信夫さん
パルシステム連合会 日配課 乙成公茂職員
生産も加工も地元で豆腐工場で農家を元気に
ささかみとパルシステムのおつきあいが始まったのは、いまから34年前の1978年。パルシステムがまだ小さな生協の連合体として、共同の商品開発や仕入れ事業を開始して間もないころのことでした。一方70年代以降、米農家では減反政策によって水田の一部を大豆やそばなどに転作。日本の農業そのものが大きな転換点を迎えていました。
「ささかみでも大豆の栽培が始まりましたが、大豆は連作障害が生じやすいなど栽培上のむずかしさがあり、市場では安い輸入大豆に太刀打ちできないなど、生産者は多くの問題を抱えるなかで栽培を続けていました」(加藤さん)
こうした不安や危機感を背景に、生産者の間では、国の政策に翻弄されるのではなく、大豆にささかみならではの付加価値を付けることで活路を見いだそうという気運が高まっていきます。この生産者たちの問題意識と熱意に共鳴したのがパルシステムでした。
「ささかみは、パルシステムの草創期のころから有機米作りなどをとおして、ともに成長してきた大切な仲間のいる産地です。その生産者を応援することは、パルシステムにとって自然な流れだったと思います」(乙成職員)
両者が出した答えが、栽培した大豆を使って豆腐を作る会社を立ち上げること。社名は(株)ささかみ。設立が実現したのは2002年のことでした
ゼロからのスタートで豆腐作りに挑戦
新会社(株)ささかみの豆腐工場の工場長に手を挙げたのが加藤さんでした。実家の農業を継ぐことになったのを機に、それまで在職していた地元の食品会社を退職し、(株)ささかみの工場長に就任したのです。食品会社に勤務していたとはいえ豆腐作りについては未経験だった加藤さんは、商品企画だけでなく、製造技術をゼロから構築することからスタートすることになりました。
企画の前提は「パルシステムとしては、当時商品ラインになかった充てん豆腐を開発したい」(乙成主任)ということ。製造技術については、パルシステムの『もめん豆腐』を製造する共生食品(株)(神奈川県)の協力を得て、加藤さんが現地に出向き研修を通じて習得することになりました。
「共生食品では、実際の豆腐作りの現場で豆腐作りの工程や必要な技術、原料の選定の仕方などを学んでいきました。たとえば、自分たちの豆腐には、どんなにがりが良いのか。実際に豆腐を作り、試行錯誤を繰り返しながら身につけていったのです」(加藤さん)
こうして、豆腐作りのあらゆる基礎技術を学んだ加藤さんは2002年6月に新潟に戻ります。豆腐工場が完成し稼働を始める1カ月前のことでした。
商品作りを後押しした組合員の協力
新潟に戻った加藤さんは、持ち帰った技術で『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』の試作を始めます。このとき、商品開発に両輪となって取り組んだのが、組合員のサポーターグループ(※)でした。
「パルシステムには、ささかみとの産地交流をとおして米作りや環境保全の取り組みに共感し応援してくださる、多くの組合員の方がいらっしゃいました。このときも、ささかみの大豆で新しい豆腐を開発するということで、多くの方が協力してくださることになったのです」(加藤さん)
ささかみの大豆エンレイは、ほかの品種に比べてたんぱく質が多く豆腐に加工するのに適している半面、味は淡白という弱点があります。それを補うために選んだのが、糖質が多く味に甘みのある北海道産のトヨムスメでした。
「その配合率や豆乳の濃さなど、条件をさまざまに変えて試作品を作り、サポーターグループのみなさんに試食していただきました。試作品は東京に宅配便で送ることもあれば、みなさんがささかみを訪れたときには旅館に試作品を持ち込み、包丁で切って目の前で試食していただいたこともあります」(加藤さん)
試した豆腐は20種類以上。ついに完成したエンレイとトヨムスメを50%ずつ使った『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』は、みんなの思いの結晶ともいうべき豆腐でした。この経験を加藤さんは、「利用者の声にとことん耳を傾けたという自負があります」と振り返ります。
※「サポーターグループ」は、現在「商品開発チーム」と名称変更して活動しています。
製法と容器の工夫で日持ちのよさを実現
そんな『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』の特徴のひとつは賞味期間が30日と長いこと。その理由は、「『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』は、豆乳とにがりを合わせたものを容器に充てんし、90℃の高温で1時間加熱して固めて作ります。充てんと同時に密封し加熱するので、菌が紛れ込まないのです」(加藤さん)とのこと。容器が厚く密封性が高いことは新潟から首都圏への輸送面での安全性を確保するとともに、300g×3個というパルシステムの豆腐で最も大容量の規格を実現。組合員のみなさんの“日持ちがするから買い置きしておくと便利”という評価につながったのです。組合員のみなさんには、その風味のよさも好評です。ツルリとしたなめらかさのなかにしっかりと大豆の味が感じられるので、これからの季節はひんやり冷やしてそのままいただくのにぴったりです。
『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』が誕生して10年。その間、一貫して豆腐作りに携わってきた加藤さんですが、それでも「豆腐作りはむずかしい」と言います。だからこそ、「多くの条件が合って、“よし! うまくできた”と思う日があります。そんなときがいちばんうれしいですね」とも。「私自身、豆腐職人としてはまだまだ途上ですが」(加藤さん)と語る言葉には、ささかみの生産者や商品開発に打ち込んだ組合員の熱い思いが、いまもしっかりと息づいているように感じられました。
『うめてば豆腐(ブロー豆腐)』ができるまで
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step01
大豆を水に浸す
洗浄後、水につけてやわらかくする。季節によってつける時間を調整。
(大豆は、5月中旬に種をまき、10月中旬に収穫。水分が15%以下になるまで乾燥させてあります。)
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step02
大豆を煮る
大豆をすりつぶし液体状(呉)にして煮る。
100〜109℃の高温で2分30秒〜3分
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step03
豆乳を冷却する
呉を豆乳とおからに分けた後、豆乳を7℃まで冷却。
(おからは「おからペレット」として、有機米の堆肥の補助に使われています。) -
step04
充てん
混合させた豆乳とにがりを容器に充てんする。
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step05
加熱
容器ごと90℃で1時間加熱し、豆腐を固める。
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step06
冷却
高温の豆腐を7℃まで冷却する。
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※本ページの内容は2012年7月時点の情報です。
商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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