三陸産わかめ
三陸の海のめぐみがいっぱい!
『三陸産わかめ』について詳しく知ろう!
- 【今回お話をうかがった方】(2013年4月時点)
- 全国漁業協同組合連合会 橋本勤さん
三陸の荒波にもまれて育った歯ごたえのよいわかめ
パルシステムのPB商品(※)『三陸産わかめ』を加工製造する(有)かね久海産があるのは、宮城県南三陸町。東日本大震災によって地域のすべてが壊滅的な被害を受け、養殖中のわかめもまた、装置ごと津波に流され全滅しました。
その年の秋、生産者たちは養殖に使うロープや浮き玉を、がれきの中から、あるいは沖合で見つけ出し種付けを再開。2012年の収獲は震災前の7〜8割ほどでした。「それでも震災から2シーズン目を迎える2013年の収量は、震災前にほぼ戻ると予想されているんですよ」。 三陸全域のわかめ生産者や加工業者を束ねる全漁連の橋本さんは、そう言って顔をほころばせます。
『三陸産わかめ』の特徴は、何といっても弾力としっかりとした歯ごたえがあること。組合員のみなさんからも「ギュッとかみしめられるほど肉厚で、色もきれい」「炒めて一品料理にしてもほかの食材に負けません」など、品質に対する信頼の声が数多く寄せられてきました。
「三陸海岸は入り江が複雑に入り組んでいるために波が荒く、わかめはその波に鍛えられて肉厚に育つんです。また、森をかかえた東北の山々からミネラルなどの栄養分が流れ込み、沖合は親潮と黒潮がぶつかりあうためプランクトンが豊富であることなど、三陸の海には良質なわかめが育つ条件がそろっているのです」 (橋本さん)
日本で流通する国産わかめは約2割といわれる現在。そのうち7〜8割を供給する三陸は、質量ともに日本を代表するわかめの産地なのです。 「かね久海産はそのなかでも上位の等級を買い付ける、いわばわかめの目利きですね」(橋本さん)。そのかね久海産とパルシステムとの取り引きが始まったのはおよそ35年前。以来、『三陸産わかめ』は私たちの食卓にあり続けてきた のです。
※PB商品:独自開発商品
地域全体で取り組む三陸産わかめを守るしくみ
ところでわかめはどのようにして私たちの手元に届くのでしょうか?「わかめの養殖が始まるのは10月の終わりごろ。冬の間、生産者は舟を出し、虫がついていないか、海水温が高くなって芽が落ちたりせず順調に育っているか、といったことに気を配りながら生育を待 ちます」(橋本さん)
翌年2月中旬から、三陸の海岸線を北上するかたちでわかめ漁は始まります。その後わかめ漁は3月下旬から最盛期を迎え4月中旬まで続きます。この2カ月ほどの短い間に、1年分のわかめが水揚げされるのです。
「全漁連では、この2カ月間のわかめ漁の時期と地域に合わせて、気仙沼、大船渡、宮古など三陸各地の漁港で入札会を開きます。登録した加工業者は入札場に出向き、 “これ!”と思うわかめに入札し買い付けるのです」(橋本さん)
買い付け後、加工会社では異物の選別などの加工を行ったうえで、塩分を調整し、袋詰めにして最終製品ができ上がります。 「量目に占める塩分の割合が50%以上というわかめも出回るなか、かね久海産では『三陸産わかめ』の塩分を30%に調整しています。塩分そのものはわかめの日もちをよくするために欠かせませんが、塩分量が少ないことで、1〜2分水につけてから流水で軽く洗うだけで、手軽に味わっていただくことができます」(橋本さん)
保存料としての塩分が少なめでもよいということは、しっかりと肉厚に育った良質なわかめだからこそ実現できること。 三陸産わかめの価値は、生産から加工、流通までのこうした地域全体での取り組みから生まれ、携わる人々が守り続けてきたのです。
大切なのは復興への継続的な支援を行うこと
それだけに震災後の8月、かね久海産が韓国産のわかめを使って加工製造した商品を発売するときには、かっとうがあった、とパルシステム連合会水産課の商 品担当は語ります。
「『三陸産わかめ』は国産、しかも三陸産ということで組合員のみなさんに信頼していただいてきた商品なので不安もありました。でも、かね久海産さんが南三陸町 で製造を再開することは、産地のみなさんが復興に向けて第一歩を踏み出したということでもあります。パルシステムなら、生協だからこそできる産地支援につ いて、組合員のみなさんに伝えることがあるはずだ、そう考えて決断しました」
パルシステムと全漁連では、パルシステムが原料となる韓国産わかめを調達し、かね久海産に対しては、まずはそのわかめを利用し、幸運にも被災を免れた高台 の加工場で加工製造の仕事を再開するように働きかけます。
震災から数カ月後、がれきの山がいたるところに残る地域で、最初に動き始めたかね久海産の加工場。それはわかめ生産者を励まし、やがてほかの漁業者、周囲の食品 会社にも伝わり、地域は少しずつ前向きな気持ちを取り戻していったといいます。
「やはり買う人がいてくれてこそ、産地は支えられ立ち上がることができるんです。多くの組合員のみなさんの力が結集する生協の力は、本当に大きいと感じま した」(橋本さん)
昨年からは国の補助金も下りたとはいえ、それだけでは震災前の生産、製造環境を取り戻すことはもとより、地域のくらしそのものも依然厳しいのが現状です。 しかし、心配された放射性物質は、幸いにも国の検査でもパルシステムの検査でも一度も検出されていません。これから今年産の新物が登場する『三陸産わかめ』。 ぜひ、三陸の海の恵みをギュッとかみしめて、たっぷりといただいてください。
『三陸産わかめ』ができるまで
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step01
収穫
ロープに種付けして養殖したわかめを生産者が収穫し、浜に水揚げします。このときわかめはまだごわごわとした茶色い海喪です。
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step02
湯通し→冷却
浜に設置したボイル釜で湯通しし、海水で海水温まで冷却します。わかめは透明感のある緑色に変ります。
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step03
塩蔵
水切りしたわかめを袋に詰めて塩を投入して攪拌(かくはん)し、漬け込みます。
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step04
共同入札
加熱殺菌後、約2分後に充填が完了します。
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step05
最終加工
加工場で場合によっては中芯を取り除き、塩分を調整して袋詰めします。
復興に向けてがんばっています!
(有)かね久海産 須田三千男氏 2年前の3月、これから刈り取りが始まるというときに津波がきて多くのものが流されて しまいました。その後みなさんから寄せられた支援に励まされ、一日も早く復興したいとがんばってきました。みなさんに喜んでいただ けるよう、これからも前を向いて進んでいきますので、『三陸産わかめ』の利用をどうぞよろしくお願いいたします。
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※本ページの内容は2013年3月時点の情報です。
商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください
※本ページの内容は2013年3月時点の情報です。 商品の規格変更などにより、最新の商品情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。