「六ヶ所再処理工場の稼働」に反対する意見を政府へ提出しました
8月31日、安倍晋三首相と更田豊志原子力規制委員会委員長へ、「六ヶ所再処理工場の稼働」に反対する意見書を提出しました。
私たちパルシステム神奈川は、「生命(いのち)を愛(いつく)しみ、自立と協同の力で、心豊かな地域社会を創りだします」を理念とし、安心して暮らせる社会をつくるために神奈川県内で事業活動を行なっております。当組合では、県内外の産地と産直を通じて消費と生産をつなぎ、互いが助け合い、資源循環と持続可能性のある社会づくりを目指しています。エネルギー分野では、パルシステムグループとして2011年に起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故を重く受け止め、未来の世代への責任と地球環境全体への責任を自覚し、2012年に「エネルギー政策」を制定しました。「減らす」(省エネルギーの推進)、「止める」(脱原子力発電)、「切り替える」(再生可能エネル ギーの普及)を柱として掲げ、再生可能エネルギーの普及などの事業・活動に取り組んでいます。
2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故では、福島県をはじめとする多くの市民が放射能汚染の被害者となり、それまでの生活や健康を奪われました。私たちパルシステムグループは組合員から寄付金を集め、被災地の子どもたちを対象とした保養活動や避難者への支援活動など積極的に取り組んでいます。10年を迎えようとする現在においても、多くの被災者や避難者が不遇な状況を受け入れながら生活しています。このような被害者を絶対に増やしてはなりません。そのためにも、原子力発電事業の一端を担う、六ヶ所再処理工場の稼働に強 い懸念を覚えています。
東京電力福島第一原子力発電所の事故から約10年を迎えようとしている現在、世界のエネルギー情勢は大きく変化しています。原子力発電については安全対策コストが高騰し、利用の見直しや建設断念の動きが目立ちます。一方、再生可能エネルギーは急拡大しコストも大幅に下がっています。世界の投資家は、パリ協定や2030年に向けた持続可能な開発目標(SDGsに基づく評価を踏まえて企業への投資を判断する傾向が強まっています。再生可能エネルギーの利用促進や技術開発が、これからさらに重要な取り組みとなります。
こうしたなか、原子力規制委員会は7月29日に開催された定例会において、青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場について、稼働 の前提となる安全審査の合格を正式に決めました。報道によれば、日本原燃は2021年の操業をめざしているといいます。しかしながら、この審査結果は生活者である市民の安心と信頼を得られるものではありません。
再処理工場の工程では、使用済燃料をリサイクルできるウランとプルトニウム、核分裂生成物に分離します。この工程に示される核分裂生成物をガラス固化する技術はいまだ確立されておらず、過去には試験でトラブルが相次ぎました。たとえ事故に対する対処措置が講じられるとしても、事故への懸念は払拭されていません。また「高速増殖原型炉もんじゅ」の廃炉に代表されるように、そもそも日本の核燃料サイクルは実質的に破綻しています。そのなかで六ヶ所再処理工場の稼働をめざすことは全く意味を持たないことが明らかです。
以上の理由から、六ヶ所再処理工場の稼働 に反対します。