パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

  • くらし・福祉 子育て

2030SDGsファシリテーター研修「パーム油学習会」を実施しました

1月17日、2030SDGsファシリテーターに向けて、地球環境や社会問題をサステナブルな情報を発信するWEBメディア「サステラ」を運営している株式会社ギャザウェイ、代表取締役 鈴木龍太郎氏を迎え「パーム油学習会」を開催しました。2030SDGsファシリテーター6名、職員3名が受講しました。

2030SDGsカードゲーム講座のブラシュアップをめざして

2030SDGsカードゲーム講座(※)は2021年度よりスタートし、10名のファシリテーターを育成、現在は組合員ボランティアファシリテーター1名を加え、実働8名で活動をしています。講座への認知度、申し込みが増えてきている現状も鑑み、多くの講師が講義に使っているテーマ「パーム油」の現状について学びを深め、講義内容のブラシュアップを図りました。

※2030SDGsカードゲーム講座
https://www.palsystem-kanagawa.coop/about/sdgs/2030sdgs_card_game/
学校向け、企業団体向けに分けて、公認ファシリテーターがうかがい、カードゲームを開催しています。2023年度は、21カ所の教育現場で1,739人が受講。

研修の様子

研修(学習)内容

「サステラ」では、各種SNSやブログをとおしてパーム油問題について発信し続けています。2022年6月にはパーム油を使用している企業と対話セッションを実施し、商品パッケージにRSPO認証ラベルを表示する旨を提言。そして2023年5月、サラヤ株式会社の協力のもと、パーム油の主な生産国であるマレーシアのボルネオ島へ渡航。伐採され続けている熱帯雨林、アブラヤシ農園や搾油工場、ボルネオゾウやオランウータンの保護施設を視察。そんなパーム油問題と現状をうかがいました。

なぜ? パーム油

パーム油は、私たちのくらしのあちこちで使われています。インスタント麺や調理済み冷凍食品、ポテトチップスなどのスナック菓子、マーガリンやショートニングの原料として、また加工食品の材料としてチョコレート、アイスクリーム、ドーナツ、カレーのルー、乳児用粉ミルクなど、わたしたちが毎日のように食べる食品の材料に使われています。また非食品としても洗剤やシャンプーなどに使用されています。

パーム油は、さまざまな用途へ使えるほか、単位面積当たりの収穫量がほかの植物油原料(大豆油やなたね油)よりはるかに高く、生産が可能です。そのため価格もほかの植物油脂より安く、安定した価格で安定した供給が可能なため、新興国から先進国まで世界中の国々がパーム油を輸入しています。

一方で、そんなパーム油を生産するために熱帯雨林をすごい勢いで伐採しています。過去半世紀で、インドネシア、マレーシア、ブルネイの3か国がまたがるボルネオ島では、50%もの森林が消失したという報告もあります。熱帯雨林の損失は生物多様性の減少、野生動物の絶滅の危機、新薬開発の後退につながる大規模な損失と脅威になる可能性が大きいことが世界的規模の課題として取り上げられています。

認知度の低いパーム油問題に

緊急性を要するそんなパーム油問題ですが、まだまだ認知が低いのも事実です。パーム油を使わないという選択肢はまだ現実的ではありませんが、“どのようなパーム油を選ぶ”かはできます。たとえば、認証パーム油(RSPO認証)を選ぶ。RSPOは “Roundtable on Sustainable Palm Oil” の略で、日本語では「持続可能なパーム油のための円卓会議」と訳されます。こちらの認証を得たパーム油を選ぶことができます。
また同時に、この問題を多くの人に知ってもらい、そこから社会を変えていくことが大切であり、変えていくことができるとメッセージをいただきました。

何のために生きる

今回の研修では、パーム油の現状について学びを深めるだけでなく、とても大きな収穫があったのが、ひとり一人にどのようにして「ジブンゴト」として捉えなおしてもらうかへのヒントをいただいたことです。
問題や課題はパーム油だけでなく社会には散々しています。しかし、どうしてもくらしに直結しないとあと回しになってしまいがちで、伝えることはできるけれど、アクションまでつながらないむずかしさを講師活動をするなかで痛感しています。そんな折、今回の研修で「何のために生きるか」、何か(お金、モノ、地位)を得るため? 何かを与えるため? と問われました。ふと、自然界に目をやると動植物たちは与えることで共存しています。そこにとてもヒントがあると気づかされました。
今回の気づきや学びを今後の講座に生かしていきます。