パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

  • 食と農 産地交流

「JA新みやぎ 冬の米産地を体験」を開催しました

11月30日~12月1日の2日間にわたり、宮城県の米産地JA新みやぎにて「JA新みやぎ 冬の米産地を体験」を開催し、7家族12名の組合員が参加しました。

JA新みやぎ みどりの地区は宮城県大崎市、涌谷町、美里町を管内とし、地域全体で環境保全型農業に取り組んでおり、『エコ・宮城ひとめぼれ』『有機宮城ひとめぼれ』をはじめとするお米の産地です。当組合とは、年4回の産地交流会や神奈川で開催する料理交流会、商品展示会(パルゆめつなごう展)などを通じた交流を27年続けています。

みその袋詰め体験と米倉庫見学

今年度4回目となる今回の交流会1日目は、みその袋詰め体験から始まりました。
米の生産量が全国5位(令和5年産)の宮城県ですが、大豆の作付面積も全国2位をほこり、昔から各家庭でみそ作りが行われてきました。みそ作りは、大豆を水に浸ける作業から始めると4日間を要するとのことで、今回の交流会では、蒸してつぶした大豆・米麹・塩・焼酎などが混ぜてあるものを、袋や樽に詰める作業のみを体験しました。今回、袋に詰めたみそは各自で持ち帰り、自宅で熟成させます。保管する場所の温度によってもみその味が変わるそうなので、食べ頃となる土用の丑の日が楽しみです。

みそ玉を作って袋に詰める作業を体験

次に、玄米が保管されている美里町の北部広域農業倉庫を見学しました。天井近くまで積み上げられた30kgの紙袋をどのように積むのかの質問に、JA職員がフォークリフトを動かして実演する場面もありました。

米不足が話題となった今年は、例年よりも保管されている米袋の量が少なく、JAでも米の確保が厳しいとの話もありました。生産者からは「米の価格は上昇しているが、原材料も高騰しているので、やっと米の価格が原材料の価格に追いついてきた感じ」との話もあり、米産地の厳しい現状を知る機会となりました。

JA職員によるフォークリフトの実演

30kgの米袋をJA職員といっしょに運ぶお手伝い

高く積み上げられた米袋をバックに記念撮影

渡り鳥「マガン」の観察

宮城県には、毎年シベリアから多くのマガンが越冬のために飛来します。冬の交流会では毎年、夕方と早朝に田尻地域にある蕪栗沼(かぶくりぬま)で、マガンやオオヒシクイ、白鳥などの観察を行っています。例年よりはまだ少ないものの、この日、蕪栗沼には7万羽のマガンが飛来しているとのことでした。日中に田んぼで落ちもみや大豆を食べて過ごしたマガンが夕暮れとともに沼に戻ってくる「ねぐら入り」の様子や、夜明けとともに沼から田んぼに向かって飛び立っていく姿を観察しました。

蕪栗沼へ向かうバスの車中で、大崎市職員の三宅さんに、渡り鳥について大きさや生態などさまざまな説明をしていただきながら、途中にある「ふゆみずたんぼ」(冬の田んぼに水を張り、渡り鳥との共生をめざす農法)の見学も行いました。この時期は、「ふゆみずたんぼ」でも、まだ水を入れていないところが多いなか、今回見学した田んぼの生産者が「毎年来る白鳥に催促されて水を張った」と言っていたなどのエピソードもお聞きし、渡り鳥と共存している農業を知ることができました。

マガンが遠くの山々の形と重なるように隊列を組んで蕪栗沼に帰ってくる光景や、早朝に5万羽がいっせいに沼を飛び立つ姿や鳴き声、羽ばたく音は圧巻で、ふだん見ることのできない風景を目の当たりにすることができました。

「ふゆみずたんぼ」に飛来した白鳥

蕪栗沼に戻ってきたマガンの群れ

酒ミュージアム・ふるさと歴史館見学

2日目は、酒米(酒造りに適したお米)の栽培が盛んな松山地域にある酒ミュージアム・ふるさと歴史館を見学しました。酒造りの始まりや工程について子どもにもわかりやすくまとめられている動画や、昔使われていた道具、松山地域の歴史、松山地域出身の歌手にまつわる品々などを見ることができ、春~秋の田んぼでの体験とは、またひと味違う産地を知る機会となりました。

昼食交流会では、「ひとめぼれ」と「ササニシキ」のごはんの食べ比べも行い、2日間にわたる交流会は終了しました。

参加者アンケートより(一部抜粋)

  • 自然相手は本当に苦労が絶えないと思いますが、その分本当においしいです。これからも食べて応援します。
  • 地域ですすめるエコな栽培、すばらしいです。環境が変わっていっても持続できるよう応援します。
  • マガンの解説ありがとうございました。感動しました。このすばらしい景色、商業的には広めたいのでしょうが広めたくないのが正直なところ。あの富士山周辺のような騒ぎになってほしくなーい!! 守りたい!

  

今年度の産地交流会は今回で最後となります。
また来年度の開催をお楽しみに!