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「株式会社鳥越ネットワーク 公開確認会」を開催しました

10月28日~29日、福岡県田川郡赤村にある「株式会社鳥越ネットワーク」にて公開確認会を開催しました。事前に行った基礎学習会と事前学習会を修了した組合員・役職員の監査人5名のほか、近郊産地や関連会社など総勢77名が参加。『有機セロリ』の栽培状況や帳票などを確認しました。

公開確認会は、1999年に始まった、生産者と消費者(組合員)の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム独自の取り組みです。これまで農畜産物の産地で累計159回の公開確認会を開催しています(2024年7月時点)。

今回、当組合が公開確認会を行った鳥越ネットワークは福岡県築豊地域の東部に位置し、英彦山から扇状に走った山麗に挟まれた盆地で、昔から良質な米が生産されています。この産地では、「農業でしあわせに生きていく」を経営理念にかかげ、ひとと環境にやさしい農業を創造し、地域再生・地域雇用を生み出す有機農業をめざしています。2019年度には「JGAP認証(Japan Good Agricultural Practices)」を取得しています。

公開確認会 1日目

福岡県田川郡赤村にある「源じいの森」にて、公開確認会は開会しました。当組合 藤田理事長は開会のあいさつのなかで、「産地の取り組みを確認するとともに、生産者と消費者の双方の理解が深まる2日間にしたい」と思いを述べました。

続いて、鳥越ネットワーク 代表取締役会長の鳥越和廣氏より、昨今の農業の課題についてお話がありました。
・資材の高騰を受け、農業を継続するためには農家も経営能力を高めていく必要がある
・気候変動による高温障害もあり、品種の選定など生産技術を高めるべく、農家同士が情報を共有していく必要がある
・生産者と消費者、産直の姿を再度見直す必要があり、お互いに理解し合えるように、数字化、見える化など具体的に情報を提供する必要がある

当日は田川郡赤村の村長も駆けつけ、安全安心な農産物、林産業をめざし、地域でも産地を応援している様子がうかがえました。

若手生産者のみなさんも集まり、それぞれが栽培している農産物を紹介していただきました。

このあと、鳥越ネットワークの理念や概要、有機栽培の取り組みについて産地から説明を受け、ほ場視察に向いました。

(左)鳥越ネットワーク 鳥越会長(右)藤田理事長

鳥越ネットワークの若手生産者

実際に見て、話を聞いて質問をし、共有することの大切さ

鳥越ネットワークの鳥越耕輔氏の案内で、『有機セロリ』のハウスで視察を行いました。ハウス内には整列された畝にセロリがズラリ。今年は暑さが残り例年よりもやや遅く苗を植え、高温障害の対策に試行錯誤しながら生育を見守っているとのことでした。有機栽培では、限られた薬剤、使用するタイミングも慣行栽培と異なり制限があるため、病気にかからないよう土づくりをしっかり行うことが鉄則。たい肥は主に草を使ったものを使用し、触ってみるとふかふか。害虫対策として脇に植えられたクレオメ(クレオメのにおいで害虫のコナジラミを捕食するタバコカスミカメを温存・増殖させる)のにおいも現地にうかがえて見て感じとれたことであり、対面で公開確認会を行えることの大切さを実感した瞬間でした。

監査人のみなさんは監査項目に沿って、鳥越氏にさまざまな質問を投げかけていました。

鳥越氏の話に熱心に耳を傾けます

1本1本、手作業で状態を確認します

(左)クレオメの花(右)葉の裏にはアブラムシの発生を抑える蛹

帳票作成も大事な作業のひとつ

帳票の監査では、栽培計画や栽培記録、出荷記録など確認します。「JGAP認証」では生産計画やトレーサビリティなど134項目もの管理すべき項目があります。分厚い帳票が何冊もありましたが、どの帳票もだれがみてもわかりやすいように項目ごとまとめられていました。監査人のみなさんは真剣な表情で帳票を確認し、わからない箇所は生産者に質問していました。生産者も丁寧にそれにこたえ、双方で理解している姿がみられました。栽培管理などの帳票は生産者の数だけ作成する必要があり、また生産者も起票しなければなりません。栽培だけでなく、帳票作成も手間暇、時間を要することを知る機会となりました。

生産者に質問しながら帳票確認をすすめます

公開確認会 2日目

午前中は、作業場と機材庫、また1日目とは別のほ場を視察しました。作業場では実際に収穫したセロリを洗い、計量、袋詰めする作業をみました。セロリの葉は手作業で丁寧に洗い流していました。農薬保管庫では鍵がかけられ、責任者が管理されていました。

流水で丁寧に洗います

計量し、ピロー包装します

ハウスの外観

監査人からの報告

午後は源じいの森に戻り、監査の報告を行いました。監査人からは、ほ場・作業場・機材庫の視察及び帳票閲覧にて、環境保全の取り組み、栽培管理や農薬や化学肥料削減、出荷までの作業などの監査項目について問題ないことが確認され、監査に協力いただいたお礼が述べられました。
産地からは「1年前から準備をしてきました。組合員と直接会って話し、取り組みを感じてもらえたことがが大変うれしい。パルシステムの産直にかかわって20年あまり、この関係性の良さに改めて気づかされました。農業は孤独ですが、お互いに本音で話して良くしていく、これが生産者と消費者の本来の姿。産直はなくしてはならない、継続していくことが農業を守っていくことにもつながる。みなさんには赤村を好きになってほしい。」と受け止めの言葉があり、2日間にわたる公開確認会は無事終了しました。
     

『有機セロリ』を手に記念撮影

『有機セロリ』は、2024年11月3回(コトコトは11月4回から)より商品カタログで企画を予定しています。実際に見た有機セロリが組合員の手元に届くまでもう少しです。野菜のなかではメジャーではないセロリですが、実際に見て聞くと、食べたくなり、このセロリに惚れます。生産者のご家族がつくったセロリのレシピは数多くあり、みなさん好みの食べ方があるかもしれません。

生産者のご家族が考えたレシピと採れたての『有機セロリ』

資材高騰、温暖化など課題が多いなかで、鳥越ネットワークでは仲間とささえ合い、地域と連携し、試行錯誤しながら前を向いて有機栽培に取り組んでいます。有機野菜を毎日の食事に取り入れ、産地を応援し、「もっといい明日へ 超えてく」生活を始めてみませんか。