パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

  • 食と農 産地交流

公開確認会「基礎学習会」及び公開確認会「事前学習会」を開催しました

パルシステム神奈川では、有機栽培のセロリやトマトなどを扱う株式会社鳥越ネットワーク(福岡県)にて10月に公開確認会を実施します。それに先立ち、9月2日に「基礎学習会」をオンラインにて、9月30日に「事前学習会」を新横浜本部にて開催しました。

生産者と組合員が直接つながる“公開確認会”

「公開確認会」とは、消費者である組合員自身が産地へ赴き、食にかかわる安全性や生産者の努力を確かめるとともに、生産者と消費者がより深く理解し合い、課題を共有し改善につなげる、パルシステム独自の発展的な交流システムです。パルシステムでは1999年に始めてから、グループ全体で累計159回の公開確認会を開催しています(2024年7月時点)。「基礎学習会」および「事前学習会」で公開確認会に必要な基礎知識や心構えを学んだ組合員、理事や職員が公開確認会に参加し、組合員の代表として産地での取り組みの確認を行います。

監査人になる第一歩!「基礎学習会」

9月2日、オンラインにて「基礎学習会」を開催し、組合員、役職員を含む17名が受講しました。

はじめに、パルシステム生活協同組合連合会 食料・農業政策推進室 下氏より、公開確認会のしくみ、公開確認会の成り立ちや意義、目的や役割について、また、公開確認会で使用する基礎用語などについての説明がありました。 公開確認会では消費者が自分の目で確かめることを「監査」といい、監査する人を「監査人」と呼びます。監査人は、消費者の視点から産地の取り組みを監査し、監査所見を述べ、監査シートに記述し提出する役割を担います。環境や地域への貢献なども含めて、産地の特性や取り組みも正しく評価し、クローズアップすることも重要な役割であるということが伝えられました。

次に、(有)リーファース代表取締役 水野氏から農産物認証・確認の種類、しくみ、チェック項目、パルシステムの監査、産地を見るときのポイント、生産者への質問の仕方、監査の手法について説明いただきました。実際の監査の場では、消費者の代表という意識をもって、生産者への敬意を忘れず、5W1Hを意識し簡潔に質問をすること、生産者の取り組みについてよく聞き、基準が守られているか責任をもって自分たちで確認し、さらに現場に行けない他の組合員へ「伝える」という大事な役目があることが伝えられました。

休憩をはさんで、ふたたび下氏よりパルシステムの産直と監査項目に沿った帳票類の説明と見方についてお話がありました。パルシステムの産直の目的は、農と食をつないで、豊かな地域社会を作ること。しかしながら、人手不足、異常気象の慢性化、資材・物流コストの価格高騰など、日本を取り巻く農業の課題や背景などを監査する側も踏まえておく必要があるとのことでした。

オンラインで実施した基礎学習会の様子 

事前学習会ではより実践的に

9月30日、新横浜本部にて「事前学習会」を開催し、監査人5名を含む16名が受講しました。 事前学習会では、基礎学習会で習得した知識を実践で生かせるように、まずは、水野氏より監査人の心構えや質問・発表時の注意点についてお話ししていただきました。「質問ははっきりとゆっくりすること。ほかの監査人が質問している内容をよく聞き、同じ質問をしないこと。はい、いいえで答えられる質問はしないこと。」など、より実践的な解説がありました。

次に産地プレゼンテーションがあり、(株)鳥越ネットワーク 鳥越氏から、産地の概要、組合の沿革などなどについてお話していただきました。
(株)鳥越ネットワークは、1975年に先代の代表が就農し、時代の課題とともに法人を変えながら2017年設立。福岡県田川郡赤村で有機セロリや有機トマト・ミニトマトの生産を手がけ、また自社で加工品を取り扱っています。経営理念は、「農業でしあわせに生きていく」こと。毎朝、基本方針を従業員全員で唱和しているとのことで、参加者のみんなでその基本方針を唱和する場面がありました。5つある基本方針のひとつに、「1【農業と未来】私たちは、健康で楽しく生きていける農産物を生産・販売を目指し、「農業で楽しい未来を紡いでいく」ことを目指します」があり、カタログに掲載されている有機セロリにも思いがつまっていることを知ることができました。有機生産物を栽培するにあたり、使用できる薬剤、害虫の抑制・除草対策、堆肥などについてもお話いただきました。また有機JAS認証だけでなく、「JGAP認証」※を取得しているとのこと。全134項目にわたる管理項目をクリアして認証されることを知りました。
※JGAPとはJapan Good Agricultural Practicesの略。農畜産物を生産する工程で生産者が守るべき管理基準とその取り組みのことを指し、「日本の良い農業の取り組み」とも言われています。農業を続けていくには、人材不足、高齢化、資材コストといった課題や、農業の衛生管理、農薬・動物用医薬品の適切な使用、水の安全性の確保、労働安全の確保など、取り組むべき多くのことがあります。GAPは、『持続可能な農業』のために生産者が取り組むことをまとめた基準で、SDGsの17の目標とも親和性が高く、SDGsに貢献できる内容になっています。

最後に、「気候変動や資材高騰など農業を取り巻く環境も厳しい状況ですが、今が踏ん張りどころ。のり越えられるかそうでないか、淘汰される時期に入っています。組合員といっしょになってのり越えていきたい。農業の新しいステップにすすめるようにご協力をお願いします。」とメッセージがありました。

(有)リーファース代表取締役 水野氏

(株)鳥越ネットワーク 鳥越氏

事前学習会の様子

下氏より帳票資料について有機セロリの栽培管理・記録などの説明後、生産者を交えてグループワークを行いました。
水野氏に教えていただいたように、各々が感じた疑問を質問し、生産者からのていねいで熱い回答で理解を深め事前学習会は終了しました。

今回の学習会をとおして産地と消費者がつながり、買い支えていくことの大切さを再認識する学習会となりました。

グループワークの様子

メモを取りながらお話を聞いている様子も

グループワーク後に発表しました

10月28日〜29日に鳥越ネットワークにて開催する公開確認会には、学習会を修了された組合員のなかから代表者が監査人として参加します。公開確認の様子はホームページニュースにてご報告します。