オンライン学習会「介護に向き合うために知っておきたいこと」を開催しました
7月10日、特別養護老人ホームで長年勤務し、社会福祉士、ケアマネジャー、介護福祉士実務者研修など、さまざまな資格を有するパルシステム生活協同組合連合会総合福祉推進室の江田和彦さんを講師に迎え、オンライン学習会「介護に向き合うために知っておきたいこと」を開催しました。78名が参加し、介護と向き合うために必要なこと、介護者の心構えと役割分担、介護保険制度のしくみと利用までの流れを学びました。
介護は突然やってくる
いつ始まるか予想のできない介護に対する不安を抱えている方は多いのではないでしょうか? 内閣府男女共同参画局のデータによると75歳を境に介護サービスを利用する方が多くなってきます。そして要介護状態になるおもな原因として認知症があげられます。認知症は、症状が進行している状態での相談が多く、早期発見が遅れがちです。異変を感じたらすぐに受診し、対応を行うことが大切だと江田さんは話します。
介護に疲弊しないために
介護は周りに理解されにくく、要介護者自身や家族介護者にとって悩みやストレスを抱えてしまいがちです。介護のプロに頼ったり、公的な支援を受けたり、地域に出て気持ちを共有したりして、「介護は家族がするもの」から「あなたも大事な人」として「自分の人生を生きていい社会へ」と、みんなの意識を変えていく必要があります。
後悔しない介護をするために、「本人の意思確認」と「家族の役割分担」を明確にしていくことが大切になります。
介護保険制度のしくみや流れを知ることも大切
介護に対する不安は早いうちから解消しておいて、介護が始まったときに慌てず冷静に行動できるように準備しておくことが重要です。
江田さんは、介護の基礎知識として、介護保険制度のしくみと流れ、地域包括センターの役割、パルシステム神奈川の福祉事業の取り組みなどについて解説しました。
学習会では参加者からの質問に答える時間もあり、「認知機能が低下してきている親への介護サービスのうながし方は?」「遠方に住む親の介護はどうしたらいいか」「やさしく接したいと思うがイライラすることがある」「よい施設の選び方は?」などさまざまな悩みや質問が寄せられ、江田さんがていねいに答えていました。
分かりやすい資料で介護について学びました
オンライン学習会の様子。講演中の江田さんと資料
参加者からの質問に丁寧に答える講師(左上)
江田さんは私たちがめざしているものとして「『生協10の基本ケア』の考え方をもとに、人は誰でも、最後まで『自分らしく』、人間として『誇りをもって』生きたいと願っており、『できないことをしてあげる介護(補う介護)』ではなく、利用者が『ひとつずつできることを増やす』(自立支援)、それぞれが『有する能力』を最大限に生かした介護の実践が大切。できるようにするために、自分やまわりの環境をどう整えるかを考えましょう」と話しました。
パルシステム神奈川では、学習会・介護初任者研修の実施・福祉事業の展開・くらし助け合いゆいねっとなどを通じ、福祉やくらしの課題に対応した取り組みを行ってまいります。
参加者アンケート(一部抜粋)
- まったくの知識ゼロからの聴講でしたが、 資料も話し方もふくめて大変わかりやすく、今後の両親との関わり方を前向きにとらえることができました。
- 現場をよく知っている方のお話は、説得力がありました。介護が始まりそうで気が重かったのですが、お話を聞いて、プロの手を積極的に借りていいと知り、少し気が楽になりました。同じ悩みを持つ方とお話することも心の安定に繋がるんだと自分の心の安定にも気を使う必要性を知ることが出来ました。
- 介護をするというと、自分を犠牲にして行うイメージでしたが、「大事な人をケアする『あなたも大事な人』」と言うのは心にひびきました。終わりのわからない介護の期間、負担になっていると心も身体も続かないな、と思いました。
◇本講演会はパルシステム共済連『福祉・たすけあい助成金』を使用して開催しています。