パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

  • 食と農 産地交流

「鈴木宣弘先生講演会 私たちの食と農を守るためにできること~日本の農畜産業の現状~」を開催しました

10月21日、「鈴木宣弘先生講演会」をオンラインで開催し、100名の組合員が参加しました。

今回の講演会は、農業経済学の第一人者である、東京大学大学院教授 農学博士の鈴木宣弘先生を講師に迎え、日本を取り巻く食の安全保障の最新状況や、これからの食の安全を守るにはどうしたらよいのかについて学びました。

日本の食と農を守るために

まず、輸入の増加、農業の縮小、自給率の低下という、日本の食を取り巻く環境の現状から説明が始まりました。日本では食料はもとより、種や肥料、飼料の多くを海外に依存しており、穀物価格上昇により厳しい状況が続いているそうです。日本の食料自給率は、種や肥料の自給率の低さから試算すると10%前後であるという鈴木先生による試算も示され、食料自給率を上げることが安全保障の要であるという説明がありました。

講師の鈴木宣弘先生

現状の国の政策では農家の保護は不充分であり、このままでは食料自給率のさらなる低下、食料危機に陥ると鈴木先生は警告します。命を守り、環境を守り、国土・国境を守っている産業である農業を国民みんなが支えるのは欧米では常識だそうです。生産者と消費者が支え合う各国の事例を示しながら、自分たちの力で自分たちの命と暮らしを守るネットワークづくりを強めるべきであると提言がありました。また消費者としてできることは、「日々の買物のなかで安くても危ない食品を避け、数十円だけ高い地元の安全・安心な食品を買うこと」「安全・安心な食品を食べることで、自然環境や健康を大切にする生産者を応援することができる」と述べられました。

「日本の農家は今でも世界10位の農業生産額を達成している精鋭である。江戸時代には循環農業で世界をリードしてきたという底力がある。みなさんの周りの生産者ががんばっているということが希望の光です。生産者と消費者のみなさんでいっしょに作っていっしょに食べるという流れを生協がリーダーシップをもって広げていけば、未来を明るいものにできると思います。いっしょにがんばりましょう」と締めくくりました。

日本の農業の問題点について説明

パルシステムの取り組みも紹介(パルシステム連合会職員より)

参加者のアンケートより(一部抜粋)

  • 食に対して日頃から感じている不安や疑問を有名な先生からわかりやすくご講義いただき、とても勉強になりました。
  • 日本の農業、自給率等大変勉強になり、日本の食材を食べ続けて、日本の農業に協力したいと思いました。
  • 鈴木先生のお話を聞いて、さまざまな面において日本の深刻な状況を知ることができました。これからは消費者側の私たち一人ひとりが 食についてもっと能動的に考え行動していくことが大事ですね。