「認知症を知って支える~認知症サポーター養成講座」を開催しました
1月20日、当組合でケアマネジャーとして勤務する武田職員によるオンライン講座「認知症を知って支える~認知症サポーター養成講座」を開催し、30名が参加しました。
この企画はパルシステム神奈川と横浜市大豆戸地域ケアプラザの共同で開催しました。
急速な高齢化に伴い、認知症は他人ごとではなく、老後最大の心配ごとになってきました。認知症の方が穏やかにくらし、周囲や地域で支え合える社会をめざすには、まずは認知症を正しく知ることが必要です。今回は認知症のなかでももっとも罹患数の多いアルツハイマー型認知症について、DVDを用いて学びました。
認知症を正しく理解する
講師は「認知症を理解し、接し方を考えるうえで大切なことは、認知症は『記憶』に障害を起こす脳の病気と理解することです」と話し、私たちが日々何げなく行っている動作は、前に見た、使ったなど、記憶に確認していることを、脳の図をもとに説明しました。
そして認知症の家族が何かを忘れたときを例に、私たちはヒントを出し、自分と同じように思い出させようとしがちであることを指摘しました。体験の一部を忘れるのであれば思い出せるかもしれませんが、体験のすべてを忘れていたら、思い出せず、焦り、不安になることは想像できます。認知症は覚えられなくなる「記憶に障害を起こす病気」とあらためて確認しました。
講義中の武田職員
認知症の人の気持ちを思う
アルツハイマーは進行する病気ですが、薬以上に、周囲の接し方、日々のかかわり方が進行を緩やかにするといわれるそうです。やさしく本当のことを教えることが基本のかかわり方だった時代もありましたが、今は違います。相手の思いを理解してかかわることが大切とのこと。
ただ「家族は365日毎日なので大変です。家族だけで抱え込まず、介護サービスの職員を利用して、上手なかかわり方を教えてもらうなど、相談してほしい」と話しました。
また家族にとって困ると思われる行動も、困らせようとしているのではなく、家族を思う気持ちや、目の前の環境に適応しようと考えた行動であることが、講師がこれまでかかわってきた方の例を含めて紹介され、目頭を押さえる参加者もいました。質疑では思い悩むご家族の様子も見えました。
講師は「今日学んだことを振り返り、この方は認知症ではないかな、この方が忘れてしまったことは何だろう、覚えていることは何だろうと考える習慣をつけることで、目の前の方を理解できるようになっていきます。なぜ、どうしてと考え、支え合えるようになってほしいと思います」と締めくくりました。
配信会場の様子
地域ケアプラザについて
講座の最後に、横浜市大豆戸地域ケアプラザの西本氏より、認知症カフェ、介護者の集いなど地域包括センターでの取り組みを紹介していただきました。
西本氏は「ご家族は手いっぱい、本人も一生懸命生きています。ひとりで支えるのは無理なので、いろいろな制度、いろいろな力を外から借りてほしい。ただ現状として、担い手不足などの課題もあります。認知症の理解者を増やし、手を差しのべてもらうだけで地域が変わっていきます。ご本人と家族にいちばん近いみなさんが声をかけてくださる、手を差しのべてくださるのが、いちばん重要です。『認知症だけどここに来ています』と言えるような社会を作っていきたい」と話されました。
参加者のアンケートより(一部抜粋)
- 脳のしくみや認知症の方の周囲への思い、自身でやろうとする気持ちなど、正しく認知症を理解できました。進行には接し方が大切と忘れずにいたいと思います。とてもよい講座をありがとうございました。
- 具体的な話を交えていただき、わかりやすかった。家族だけではなく地域全体で理解し、見守ることが必要だと感じた。
- ほんの少しでも身近に認知症について正しい知識をもったやさしい目線の人がいてくれたら、本人も家族もどんなに心強いか。少しでも学びやさしいサポートができたらいいなと思いました。
- 認知症についての理解がとても深まりました。脳の記憶障害であることや、接し方で進行を遅らせることができること、不安や焦りなどストレスが進行を早めること、だけでなく、具体的な接し方などもあって、とても役に立ちました。
- 興味深かったです。認知症は病気で、恥ずかしいことではないし、心は以前のまま(やさしさなど)で、接し方次第で症状が変わるなど いろんなパターンがあるのを再認識しました。