「消防署長さんから学ぶ防災講座」を開催しました
11月18日、オンラインにて「消防署長さんから学ぶ防災講座」を開催し、61名が参加しました。
いつ起こるかわからない災害には、日ごろの備えが大切です。今回はより身近に防災を意識できるよう、私たちがくらす神奈川県の大和市消防本部 消防署長、中丸剛仁氏から「消防の立場から見た防災について」ご講演いただきました。
消防署長さんから学ぶ防災講座
講演会の様子
現在の消防の様子
「以前に比べ、火災は年々減少傾向にあります。防犯カメラの普及や、電気調理器具など、安全装置が発達したことによる予防効果がでていると思われます。その反面、救急や一人ぐらしの方の安否確認に対する救助が増加しています」と中丸氏は消防の現状について説明しました。
この夏の新型コロナウイルス第7波では、通常の救急着の上に感染防止着を着用し、朝出動してから食事をとることもできず、夕方に戻る状況が続いたそうです。「家族の濃厚接触により出勤できない署員もでるなど、混乱のなか何とか切り抜けました。第8波が心配されます」と話されました。
災害から学び、自分ごととして一人ひとり対策を
中丸氏は「過去の災害を知り、適切な対策をとれば被害は最小限にできます」と話され、過去の自然災害と国民保護について、消防の活動を交え説明しました。
現在、神奈川に今後30年以内に都心南部直下地震(首都直下)、東海地震、神奈川県東部地震、南海トラフ巨大地震の発生する確率は70%など想定されています。「みなさんは天気予報で何%なら傘を持ちますか。ほとんどの方が70%では傘を準備するのではないでしょうか。同じように地震に置き換え考えてほしいです」と中丸氏は呼びかけました。
また阪神淡路大震災(建物の倒壊が多い)ではコンセントを入れたまま避難している家庭が多く、電気復旧時の通電火災が多く起きたと思われることから、東京電力ではその後の豪雨の際、一軒一軒訪問して、在宅を確認してから電気を通したことを紹介。「復旧に時間がかかることを理解しておいてください」とのことでした。
※避難する際は、ブレーカーを落として避難しましょう。
身近な大雨の事例では、道路が冠水し車が浮く状況となり消防が出動したところ、落ち葉がグレーチング(溝の蓋)を塞ぎ、水が流れなくなっている状態だったそうです。消防が落ち葉をとりのぞき、水を流したことが紹介されました。自宅周辺の落ち葉をとることも、災害回避にもつながることをあらためて認識しました。
避難の注意点として、「水害では足元が見えず、マンホールが浮いているかもしれないです。足元を確認する杖や傘を持つなどの工夫をしてください。夜間の避難は停電になると足元が見えなくなるので、明るいうちに早め早めの避難をしましょう」と話されました。火災が起きた時は天井に火が燃え移ったら消せないので、避難を優先するなど具体的な行動についても説明がありました。
※災害伝言ダイヤル(171)は、年に数回試すことができます。家族で共有しておきましょう。
災害時の協力体制について
大災害の体制については不安に思うところですが、大きな火災発生時、管轄地域の被害が少ない場合、他の自治体へ応援に行く「神奈川広域応援」のシステムがあることを紹介。「首都直下や南海トラフ地震が起きた場合には、全国の消防が他県から出動する仕組みも構築されており、どの県がどこに入るかまで決まっています。首都直下・南海トラフを想定した全国合同訓練が行われたばかりです」と話されました。
しかし、通常の火災では10台行っていた消防車が、災害時には1台になることも。「救急も病院の受け入れが必要です。消防車・救急車には限りがあります。災害の時“これくらい大丈夫”などと思わず、危険スイッチを入れる、自分の身の安全は自分で守るのが基本です。生き残り、生き延びるため、防災対策を始めましょう」と締めくくりました。
講座終了間際には、参加者からメッセージも届き、消防のみなさんが協力体制で市民を守ってくださっていることに感謝し、私たちも自身の身を守る行動と、できる備えをして行きたいと思う学習会でした。