「超えトーク 世界の核兵器はどうなる?」オンラインセミナーを開催しました
11月1日、核兵器禁止条約の締約国会議(2022年6月開催)に参加された3名のパネリストを招き「世界の核兵器はどうなる?」と題したオンラインセミナーを開催し、22名が参加しました。核兵器禁止条約の内容や締約国会議の報告、私たちにできることについてお話をうかがいました。
核兵器禁止条約とは
まず川崎さんから核兵器禁止条約の内容について講演いただきました。
核兵器禁止条約は核兵器を非人道的な兵器として全面的かつ完全に禁止し、核兵器の廃絶への道筋を定め、核被害者への援助を定めた条約で、2017年7月7日に採択され、2021年1月22日に発効しました。
そして第1回目の締約国会議がオーストリアのウィーンで2022年6月21日から3日間開催されました。核兵器は使用されなくても原料であるウランの採掘から核実験に至るまで、各段階で人的被害が発生しているので禁止することが必要ですが、日本政府は核兵器禁止条約に署名していません。
国内の世論調査では国民の85%は「日本政府は締約国会議にオブザーバー参加すべき」としている調査もありながら、日本政府はオブザーバー参加していないことから、国民の声が政治に反映されていない現状が報告されました。
川崎 哲さん
私たちにできること
パネリスト3名に私たちにできることをうかがいました。
瀬戸さん:個人として核兵器に対する当事者感覚を見直してみて欲しいです。自分は被害者にもなりえるし、加害者にもなりえる、という可能性を考えてみると当事者意識がわいてくると思います。
高橋さん:市民活動への寄付などをつうじて間接的に活動をあと押しすることもできます。
川崎さん:身近な人に核兵器の話題を話してみて欲しいです。すぐに反応や結果が出なくても核兵器の話題を発信し、話し続けることで「いつかそんな話を聞いたことがあるな」と思い出してくれたらよいと思います。
瀬戸麻由さん
高橋悠太さん
参加者Q&A
最後に参加者からの質問で、瀬戸さんと高橋さんにも「身近な人と核兵器について話す」ことについてうかがいました。
瀬戸さん:おとなになって「わかってもらわなきゃ」という感覚はおくようにしていて、「私は一生懸命これをやっている」ということは表現し続けています。SNSの発信や活動のなかでもらったアクセサリーをつけたりすることで、話すきっかけにつながっています。
高橋さん:なにかを語ったり表明して、すぐに反応や結果が見えることはまれです。ただ、それが聞いた人の心のなかに残って、その人を構成していくことはあります。10年後に「そんな話をしたな」とつながることがあるので、声をかけ続けていくことは意義があると思います。
戦争の話題が絶えないなか、みなさんもこれを機会に核兵器についてもう一度考えてみませんか。
パネリスト紹介
川崎哲さん
ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員兼会長、核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表
2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営委員兼会長(2012~14年同共同代表、14年から国際運営委員、21年から会長兼任)として、国際的にNGO間および各国政府との対話促進に尽力。著書に「核兵器 禁止から廃絶へ」(岩波ブックレット、2021)など。
瀬戸麻由さん
核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)メンバー。シンガーソングライター。広島県呉市出身・在住。大学時代に初めて被爆証言を聞いて「これは遠い話じゃないんだ」と気づく。広島を拠点に、音楽活動のかたわら「Social Book Cafeハチドリ舎」などで広島と人と世界をつなぐ場づくりに挑戦中。
高橋悠太さん
広島県福山市生まれ。慶應義塾大学4年生。首都圏で核兵器廃絶へのアクションの環を広げる「KNOW NUKES TOKYO」共同代表。ICANキャンペナーとして、核兵器禁止条約を推進。国会議員、都道府県知事、市区町村議会議員などに核兵器廃絶に向けた最新情報を伝え、それぞれの核政策についての意見をうかがう「議員ウォッチ」などのキャンペーンを展開中。