パルシステム神奈川のイベントレポートをご案内します。

  • 食と農 産地交流

公開確認会「基礎学習会」及び公開確認会「事前学習会」を開催しました

パルシステム神奈川では、有機栽培の小松菜などを扱う(有)やさか共同農場(島根県)にて10月に公開確認会を実施します。それに先立ち、8月10日に「基礎学習会」をオンラインにて、9月14日に「事前学習会」を新横浜本部にて開催しました。

生産者と組合員が直接つながる“公開確認会”

「公開確認会」とは、消費者である組合員自身が産地へ赴き、食にかかわる安全性や生産者の努力を確かめるとともに、生産者と消費者がより深く理解し合い、課題を共有し改善につなげる、パルシステム独自の発展的な交流システムです。パルシステムでは1999年に始めてから、グループ全体で累計148回の公開確認会を開催しています(2022年6月時点)。「基礎学習会」および「事前学習会」で公開確認会に必要な基礎知識や心構えを学んだ組合員が公開確認会に参加し、組合員の代表として産地での取り組みの確認を行います。

監査人になる第一歩!「基礎学習会」

8月10日、オンラインにて「基礎学習会」を開催し、組合員・理事・職員18名が受講しました。

はじめに、パルシステム生活協同組合連合会 産直推進課の田村氏より、公開確認会のしくみ、公開確認会の成り立ちや意義、目的や役割について、また、公開確認会で使用する基礎用語などについての説明がありました。 公開確認会では消費者が自分の目で確かめることを「監査」といい、監査する人を「監査人」と呼びます。監査人は、消費者の視点から産地の取り組みを監査し、監査所見を述べ、監査シートに記述し提出する役割を担います。環境や地域への貢献なども含めて、産地の特性や取り組みも正しく評価し、クローズアップすることも重要な役割であるということが伝えられました。

次に、(有)リーファース代表取締役 水野氏から農産物認証・確認の種類、しくみ、チェック項目、パルシステムの監査、産地を見るときのポイント、生産者への質問の仕方、監査の手法について説明いただきました。実際の監査の場では、消費者の代表という意識をもって、生産者への敬意を忘れず、5W1Hを意識し簡潔に質問をすること、生産者の取り組みについてよく聞き、基準が守られているか責任をもって自分たちで確認し、さらに現場に行けない他の組合員へ「伝える」という大事な役目があることが伝えられました。

休憩をはさんで、ふたたび田村氏よりパルシステムの産直と監査項目に沿った帳票類の説明と見方についてお話がありました。パルシステムの産直の目的は、農と食をつないで、豊かな地域社会を作ること。しかしながら、人手不足、異常気象の慢性化、資材・物流コストの価格高騰など、日本を取り巻く農業の課題や背景などを監査する側も踏まえておく必要があるとのことでした。

オンラインで実施した基礎学習会の様子 

パルシステム連合会 田村氏

講師 水野氏

事前学習会ではより実践的に

9月14日、新横浜本部にて「事前学習会」を開催し、組合員・理事・職員9名が受講しました。 事前学習会では、基礎学習会で習得した知識を実践で生かせるように、まずは、水野氏より監査人の心構えや質問・発表時の注意点についてお話ししていただきました。「質問ははっきりとゆっくりすること。ほかの監査人が質問している内容をよく聞き、同じ質問をしないこと。はい、いいえで答えられる質問はしない」など、より実践的な解説がありました。

次に、産地の概要や取り組みなどについて話がありました。 やさか共同農場が所属する「西日本有機農業協同組合」の風谷氏からは、組合の沿革などについてお話していただきました。高齢化や耕作放棄地の増加など、さまざまな問題に危機感を覚えたことから、その解決に向け、中山間地域に点在するこだわりをもった小さな産地をつなげて立ち上げたとのことです。現在抱える課題として、物流にかかわる「2024年問題」があるとのこと。運送業界の管理が厳しくなるため、これまでのように物を当たり前に運ぶことが難しくなる将来がやってくるという課題を共有してくださいました。

続いて、やさか共同農場生産者の佐藤氏と竹岡氏からは、やさか共同農場のルーツや生産者や産地について話していただきました。弥栄町は1972年、過疎化がすすんでいた旧弥栄村に県外出身者が入村してできた村で、互いに労力を提供して助け合う“結(ゆい)”という考え方がルーツにあるそうです。自分たちの農業を次の世代に当たり前につなげていきたい、生産現場と台所の距離をもっと近づけていかないといけない、そのような使命感で日々作業されているという思いまでうかがうことができました。

西日本有機農業協同組合 風谷氏

やさか共同農場の生産者 佐藤氏

やさか共同農場の生産者 竹岡氏

このあと、生産者を交えてグループワークを行い、水野氏に教えていただいたように、各々が感じた疑問を質問し、生産者からのていねいで熱い回答で理解を深め、事前学習会は終了しました。

今回の学習会をとおして産地と消費者がつながり、買い支えていくことの大切さを再認識する学習会となりました。

グループワークの様子A

グループワークの様子B

10月12日〜13日にやさか共同農場にて開催する公開確認会には、学習会を修了された組合員のなかから代表者が監査人として参加します。公開確認会当日の様子は、10月21日「もっと知りたい!有機小松菜の産地」(オンライン開催)、またはホームページニュースにてご報告します。