学習会「ウクライナと避難民の現状と未来」を開催しました
8月6日 神奈川県立かながわ労働プラザにて「ウクライナと避難民の現状と未来」を開催しました。当日は理事・職員を含め来場者39名、オンライン参加者42組の方にご参加いただきました。ウクライナ出身で川崎市に在住のソロツカさん姉妹にご講演いただきました。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から5カ月以上が経過しました。
ウクライナ現地の状況は? 避難してきた人たちへの支援は? 今、私たちにできることはなにか? 参加者といっしょに考えました。
ズーラベルさんインタビュー動画
まずウクライナから2022年3月に避難してきたズーラベルさんのインタビュー動画を視聴しました。
ズーラベルさんは日本に知人がいたこともあり、子どもといっしょに避難してきました。現在はNPO法人CINGA(シンガ)でウクライナ語による心理相談を行っています。
ズーラベルさんは「子どもも大人も、それぞれに合った日本語の教育支援が必要となっている」「ウクライナ人はオープンマインドな人が多いのでぜひ話しかけて欲しい」とおっしゃっていました。
ウクライナ語で「こんにちは」は「ヴィターユ」です。
ズーラベルさんのインタビュー動画
ソロツカさんの講演
次にウクライナ出身のソロツカさん姉妹にご講演いただきました。
おふたりは来日して20年ほどですが、多くの親族がウクライナでくらしており、現地の状況、私たちにできる支援方法の提案など、詳しくお話を聞きました。
講演のなかではウクライナには何百年も前から独自の文化や言語があることも紹介し、ソ連時代には厳しい検閲により文化の破壊が行われた歴史なども紹介されました。
今後については、もし戦争がすぐに終わったとしても、街や家が破壊されて帰る場所をなくしたウクライナ人が多いことや、避難民も避難先でくらし続けていくかもしれないこともあり、長期にわたる支援が必要であることがわかりました。
ウクライナの現状を説明するソロツカさん姉妹
私たちにできる支援
私たちが身近にできる支援方法としては、支援団体への寄付、ウクライナ人アーティストの音楽を聴くなど、今すぐにでも始められる支援方法をご案内いただきました。
最後に、「最近ではニュースが少なくなってきているが、ウクライナでは戦争が続いているので、忘れないで欲しい」と語りかけて締めくくりました。
「今日から始められる支援」を考える機会となりました。
講演の中でソロツカさんから寄付先としてご紹介頂いた「日本ウクライナ友好協会KRAIANY」について詳しくはこちらから
講演したソロツカさん姉妹とご両親
講演後の質疑応答
Q:通訳や悩みの相談など協力したいのですがどこに尋ねればいいでしょうか?
A:避難民の情報は行政が把握しているので行政の窓口に聞いてみると良いと思います。
Q:日本の習慣や文化で不便と感じることはありますか?
A:相手の文化を尊重し、文化の違いとしてとらえているので不便と思ったことはありません。私の場合は日本語を学ぶことで日本の文化への理解も深まりました。例えば「空気を読む」などはウクライナにはない文化だと思います。
Q:ウクライナの方が好む食べ物はどのようなものでしょうか?
A:日本のじゃがいもはとてもおいしいです。ウクライナではそばの実をよく食べますが、日本では手に入る場所が少ないです。最近ではビーツが手に入りやすくなったと感じています。
参加者のアンケートより(一部抜粋)
・ほとんどなじみのないウクライナの歴史にも触れていたこと。現在の状況は歴史と切り離せないと思うので。ソロツカさんの日本語が堪能だったのは期待以上でわかりやすかった。
・歴史上の戦争と今の戦争が大きく重なりました。征服者の思考、同化政策を進めるための学校攻撃など、納得のいくお話でした。そして戦争が終わっても帰る家がないという言葉が胸に刺さりました。戦争は始まったら最後二度と修復できないことがわかりました。
・ウクライナ人の気質や音楽なども話題にでて親しみを感じました。
・質問時間が十分に確保されていたので参加者はどのような点に疑問を持っているのかを知ることができてよかったです。ソロツカさんも回答がとてもていねいだったのでリモートでしたが交流できた気分になれました。
・ソロツカさん姉妹の講演は、まさに侵略戦争をうけている国民の声だと感じました。やはり他人事として侵略戦争を感じるのではなく、当事者としての感覚をうかがうことで、周囲の国ができる支援について、さらに考えるきっかけとなりました。