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オンラインで「JA新みやぎ学習会」を開催しました

10月10日、「JA新みやぎ学習会」を開催し、組合員15家族が参加しました。宮城県にあるJA新みやぎは、『エコ・宮城ひとめぼれ』『エコ・宮城つや姫』などのお米の産直産地で、パルシステム神奈川とは20年以上の交流を続けています。例年、産地では、春の田植え、初夏の生きもの観察、秋の稲刈り、冬のマガン観察など、農体験や地域の魅力を知るツアーを年4回開催していましたが、コロナ禍で今年度はオンラインでの開催となりました。

JA新みやぎは、地域全体で生物多様性や環境保全型農業を行っており、2017年には管内を含む大崎耕土が「世界農業遺産」に認定されました。
今回は、産地とオンラインでつながり、世界農業遺産や冬にシベリアから飛来する渡り鳥「マガン」についての説明、稲刈りが終盤を迎えた田んぼからの中継、生産者による米作りについての紹介などを行いました。

「マガン」に選ばれた産地 JA新みやぎ

はじめに、産地概要説明や参加者紹介を行ったあと、大崎市職員の鈴木さんより、マガンの特徴や生態について、動画やはく製を使用した説明がありました。マガンは、毎年4,000km離れた場所から渡ってきて、冬の間、JA新みやぎの多くの田んぼで落ち籾や草などを食べて過ごしています。翼を広げると150cmほどある大型の水鳥で、成鳥になるとくちばしの上の白い羽毛やお腹に黒く模様が出てくるのが特徴で、穀物が食べやすいように、くちばしにギザギザの歯がついているそうです。

管内の田尻地域にある蕪栗沼(かぶくりぬま)は、水田の豊かさや環境に対する貢献が認められ、周辺の水田を含む湿地が「ラムサール条約」に登録されており、日本で越冬するマガンのうち約90%、23万羽がこの地域に飛来するそうです。農家では、冬に田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」を行っているところもあり、マガンが眠れる場所(ねぐら)を作りマガンと共生する取り組みを行っているとのことでした。

マガンのねぐら入りの様子(動画で紹介)

送電線に衝突して亡くなってしまったマガンのはく製

「ふゆみずたんぼ」で収穫されたお米はJAS有機のお米として出荷され、パルシステムでも、『コア・フード宮城ひとめぼれ(10月より有機宮城ひとめぼれ)』として、組合員のみなさんにお届けしています。

※ラムサール条約:「とくに水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」のこと。日本は「国際的に重要な湿地であること(国際的な基準のうちいずれかに該当すること)」「国の法律(自然公園法、鳥獣保護管理法など)により、将来にわたって、自然環境の保全が図られること」「地元住民などから登録への賛意が得られること」の条件を満たしている湿地を登録しています。

「世界農業遺産」に認定された地域

「世界農業遺産」とは、世界的に重要な農林水産業を営んでいる地域を認定するもので、大崎耕土と呼ばれているこの地域も2017年に認定されました。

田んぼを作るために必要な水をくまなく地域に巡らせるため、400年前から、山の中に隧道という水の通り道を掘ったり、川に堰を作るなどの工夫がされてきたそうです。現在でも、水路を農家が常に管理したり、水路だけでは水が足りないときのために「ため池」を作ったりと、巧みな水管理がされています。
さらに、田んぼに順番に水を引くことや、冷害の年には深水管理をしたり、さまざまな取り組みがされていることも認定された理由のひとつとのことです。今でも、地域には居久根(いぐね)という屋敷林が点在しており、冬の北西風を防ぎ、母屋を守ったり、敷地内に薬草や畑があり自給自足できる工夫がされています。それが田んぼの環境と合わさり、たくさんの生きものがくらす場所にもなっています。農業にとって重要なカエルなどの生きものが、田んぼと居久根を行き来してくらしているとのことで、豊かな生物多様性が残っている産地を垣間見ることができました。

大崎市職員鈴木さんによる大崎耕土の説明

田んぼからの中継

管内の南郷地域の田んぼからは、「マガンの名前の由来は鳴き声からきている」「ひとめぼれは宮城県で生まれた品種である」などの〇✕クイズ(いずれも答えは〇)や、収穫を終えた現在の田んぼの風景も中継しました。
また、参加者が家で育てたお米の紹介や、参加した感想を述べたあと、生産者の須田さんの「宮城ではすでに新米が販売されており、来週には、みなさんにも新米が届く頃かと思いますので、新米をぜひ味わってみてください。来年には、コロナが終息してみなさんをお迎えできることを期待しています」との挨拶で締めくくりました。

収穫を終えた田んぼ

田んぼから中継を行ったJA職員

南郷地域の生産者のみなさん

参加したみなさんで記念撮影

参加者の感想

  • オンラインで産地の様子や生産者のみなさんのお話をうかがうことができ、産地を身近に感じることができました
  • 産地に行きたいと思いました
  • 生産者さん、畑から、と二元中継で、動画ありクイズありと盛りだくさんで、とても楽しかったです
  • 産地のみなさんの取り組みは、いろいろなことへつながっていて、すてきですね。いつかまた足を運べるのを楽しみにしています