「障害者雇用の現状と可能性~多様な人が活躍する社会に向けて~」を開催しました
6月1日、障害者雇用コンサルタントの松井優子氏を講師に迎え、オンラインにて「障害者雇用の現状と可能性~多様な人が活躍する社会に向けて~」を開催し、118名が参加しました。
当組合は、2030年ビジョンのめざす姿のうち「くらし・福祉」の領域で、「一人ひとりが、地域社会とつながり、自分らしく生きていける社会をつくっています」と掲げています。障害の有無にかかわらず誰もが自分らしく生きていける社会づくりをめざし、今回は、障害者がもっと自由に自立的に活躍できる場をつくるためにはどうしたらよいのか、そして障害者が元気に働くことの社会や職場への意義について考えました。
障害者雇用の現状と福祉施策
「最近では、障がい者という表記も普及していますが、私はあえて害という漢字を使っています」と話された松井氏。障害に関する考え方は、個人の障害が原因で行動に制限がくわえられてしまっているため、この障害を取り除くのにどうしたらよいのかを考える「医学モデル」と、個人の問題ではなく環境の作用によって障害が生じる社会の問題と捉えた「社会モデル」があり、社会モデルの考え方が広がってきています。社会モデルの考え方では、たとえば車椅子ユーザーが不便を感じるのは、エレベーターがないためであり、設置されていれば、障害を感じる必要はないというもの。松井氏も、社会モデルの考え方をしていること、また、表記自体よりも、考え方や実践のほうが大切とのことから漢字で表記されているとのことです。
障害者雇用促進法は、身体障害者を対象として始まりましたが、その後、知的障害者・精神障害者が追加され、時代とともに変化がありました。障害者雇用は17年連続で過去最高を更新しており、障害者福祉施策も「障害者を福祉で支える」から「障害者の自立を支援する」へと変化しているとのことです。では、雇用する企業側はどのような変化があったのでしょうか。
障害者の雇用から広がるすべての人にとって生きやすい社会
松井氏は「知的障害者と接していない方からは、数が数えられなかったり、文字が読めなかったりする方がどのように働けるのかと言われます」と説明を始めました。たとえば、カウンターを利用して、数を数えなくても数がわかるようにしたり、製品の区別に絵や色を使ったりするなどの工夫をされているとのことです。このような工夫により、職場では障害者が戦力となっていて、どの方が障害者なのかわからないくらい活躍されているそうです。さらに、障害者をサポートする社員の成長を感じたり、部署内外での業務調整などで社内コミュニケーションが活性化されたりなど、社内全体の働く意識の変化もあるとのことです。
増加傾向にある障害者雇用の現状
障害者が働く職場での配慮や工夫
「『できない』ではなく『どうしたらできるのか』を考えることは、障害者に対してだけでなく誰に対しても働きやすい場をつくることができたり、物事の見方への変化や視野の広がりにつながったりします。このような視点をもつことで、すべての方が働きやすく、生きやすい社会になると思います」という松井氏の言葉に、障害者雇用の意義や期待について深く考える講演会となりました。
◆本講演会の動画を期間限定で配信しています(7月1日(木)まで)。⇒こちらから