「沖縄スタディ~沖縄戦と基地問題~」を開催しました
5月22日、「沖縄スタディ~沖縄戦と基地問題~」を開催し、2018年度沖縄スタディツアーの報告と「沖縄戦と基地問題」についての講演を行いました。当日はオンラインで43名、集合視聴会場(新横浜本部)で2名が参加しました。
歴史を学んだ沖縄スタディツアー
はじめに、当組合の島村常任理事より2018年度に開催した沖縄スタディツアーの報告が行われました。
スタディツアーでは、沖縄の古い歴史と沖縄戦、沖縄は現在も米軍基地に関連した事故や問題が今なお続いていることや、対馬丸事件を体験した方の証言などを聞いたこと、また、沖縄戦の慰霊碑や資料館とともに、辺野古の埋め立ての様子や反対運動のテントの様子、オスプレイが飛んでいる姿も実際に見ることができたと話しました。
沖縄の基地問題の現状
島村理事は、辺野古の埋め立てが続いているなど、沖縄の問題はまさに、現在進行形のものであると説明し、さらに、沖縄タイムスの記事を紹介し、一部の歴史教科書で「沖縄住民もよく協力しました」などと、沖縄県民がすすんで戦争に協力したかのように読み取れる表現が使われはじめていると指摘しました。
さらに、政府が国会に提出した重要土地調査規制法案について、基地の周辺の住民の財産権やプライバシーの侵害となりうるということで撤回を求める声明、声を上げている市民団体がいると語りました。
島村理事は「このような法案が(ほとんどニュースで見かけることがなく)コロナ禍の中で提出されていた。本当にみんなで気をつけていかなくてはいけない」と話し、現在も動き続ける問題に関心をもって見つめる重要性を伝えました。
沖縄スタディツアーの内容を報告する島村理事
祖父と沖縄戦の実態
続いて、日本陸軍第32軍(沖縄守備軍)の牛島満司令官の孫として、沖縄戦の実相を探り、後世に語り継ぐ活動を続けている牛島貞満氏から、沖縄戦の当時の戦況をわかりやすく振り返りながら、沖縄戦の経緯が語られました。
牛島氏は、なぜ住民が兵隊よりも多く亡くなったのかを日本軍のふたつの命令から考えると話し、「首里で戦い続けるか、南部へ撤退するか、あなたならどちらを選びますか?」と参加者に問いかけました。
住民の立場で考えているか、軍を中心に考えているか、参加者自身の意識も考えさせる問いかけで、牛島氏は考えさせる講演や授業を意識していて、参加者が考える時間を必ずとってこのように問いかけるそうです。
牛島氏からデータをもとに沖縄戦当時の状況が解説されました
また、牛島氏はご自身の祖父である牛島満司令官の周囲の人からの印象を話し、沖縄線中の兵士へのゲリラ戦の命令や自決の流れを含めて語りました。
多くの沖縄県民の犠牲を出した最大の原因は、南部撤退とゲリラ戦のふたつの命令にあると話し、とくに後者のゲリラ戦の命令と司令官の自決によって兵士たちは戦い続けるしかなく、沖縄戦は長く続くこととなったと説明しました。
牛島氏が調査をした首里城地下の第32軍司令部壕の調査不足についても語り、実際に南部撤退の命令が出されたことや実戦で使用されたことから、第32軍司令部壕の保存・公開は平和教育・歴史教育に大いに役立つとあらためてその重要性を語りました。
最後に、質疑応答のなかで参加者から「ご自分のおじいさんのことを調査していて(他の人から)つらいことを言われたりしなかったですか?」と問われて「誰でも祖父のことと、私(貞満氏)のことは別人格として(対応し)お話ししてくれました」と牛島氏はやわらかな表情で話されました。
参加者からの質問に答える牛島氏
戦争による被害を二度と繰り返さないためにも、これまで日本がどのような歴史を歩んできたのかを、平和学習によって正確に伝え学んでいくことが重要です。
当組合は今後も沖縄の歴史、基地問題について学ぶ機会を作っていきます。