「村木厚子氏オンライン講演会 社会的養護下の子ども・若者を考える」を開催しました
2月24日、当組合が設立した(一財)神奈川ゆめ社会福祉財団主催で当組合協力のもと、オンラインにて講演会を開催し、240名が参加しました。
今回は、元厚生労働事務次官を務められ、現在は生きづらさを抱える若者、とくに若い女性の支援を行っている村木厚子氏、社会的養護にある子どもたち・若者たちの就労や進学に向けたキャリア教育に取り組む永岡鉄平氏のおふたりに講演していただきました。
私たちや社会がもっと子育てや母親を応援しよう
村木氏は、養護施設に入る子どもたちの多くが虐待を受けた経験があること、児童相談所に寄せられる児童虐待の相談対応件数は年々増えていて、10年前には4万4千件であったのが、2019年度には19万件に増加していると解説。
家庭や母親の生活困窮、また子どもや親がハンディキャップをもっているなど複数の困難があり、親がほかに相談や頼れる人がいないなど、人とのつながりが希薄になっていることが背景にあると村木氏は話しました。
虐待事件が起きると、その親や児童相談所の対応ばかりが責められますが、それだけでは虐待は減らせず、かえって児童相談所や行政のマニュアル的な対応を強め保護の質は低下します。村木氏は「虐待を減らすには、私たちが早く見つけ、望まない妊娠やハンディキャップがあるなどの困難をかかえる母親たちを助け、その子どもたちが教育を受け続けられる環境が必要」と訴えました。
村木氏が呼びかけ人となっている若い女性の支援組織「若草プロジェクト」には、コロナ禍の昨年以降、「家に居場所がない」「逃げ場がない」といった女性からの相談が急増しています。村木氏からは「とくに今は支援を強化するときです」と温かい語り口で力強いメッセージが送られました。
若者たちが自分らしい「はたらく」を実現できる社会を
続いて養護施設の子どもたちや施設を退所する若者たちの支援をする、(一財)神奈川ゆめ社会福祉財団の評議員でもある永岡氏の事例報告が行われました。
現在、永岡氏は社会福祉的立場で養護施設の子ども・若者を支援するNPOフェアスタートと、就労のマッチングの事業会社(株)フェアスタートの代表として活動しています。永岡氏は「養護施設は高校卒業の18歳で退所となるため、その7割が就職します。高卒就職は制度ができているので比較的就職率は高い。しかし就職後1年以内の離職率が5割と高く、本人と就職先とのミスマッチがある」と話します。
永岡氏は、そのミスマッチを防ぐために、高校生や中学生のうちに実際の会社でさまざまな仕事を見る機会を設け、本人が自分で納得でき決断ができるよう 2つの法人の活動・事業を柔軟に活用しながら、子どもたちの後押しをしています。
詳細な報告は神奈川ゆめ社会福祉財団ホームページの報告をご覧ください。
⇒https://kanagawa-s.or.jp/kouenkai20210224/
当組合は、(一財)神奈川ゆめ社会福祉財団とともに、引き続きさまざまな団体と連携・活動し、困難を抱える子どもたちの支援に取り組んでまいります。