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「オンラインで学ぼう! 私たちの食卓と遺伝子組換え食品」を開催しました

1月15日、Zoom使用による講演会「オンラインで学ぼう! 私たちの食卓と遺伝子組換え食品」を開催し、組合員・役職員あわせて198名が参加しました。

今回の講演会は、民間稲作研究所アドバイザーであり、日本・ブラジルのNGO、オルター・トレード・ジャパン政策室室長等を経て、現在フリーの立場で世界の食の問題を追っている印鑰智哉(いんやくともや)氏を講師に迎え、遺伝子組換えやゲノム編集などの新しい技術についてお話いただき、日本の食について考えました。

からだに大きく影響する食の変化

「今、私たちは気候変動や生物多様性に対する脅威にさらされつつありますが、食を変えることで、この脅威を押さえることができると言われ始めています」と話し始めた印鑰氏。私たちの食はどのように変化してきているのでしょうか?印鑰氏は、まず、食を作り出す土壌について説明されました。

講師の印鑰氏(右)と司会進行役の島村常任理事(左)

微生物と植物の共生関係によって豊かな土壌となりますが、化学肥料を使うことで土中の微生物の活動が衰えて洪水、干ばつなどで流失しやすくなり、世界の土壌が失われつつあるそうです。また、アメリカの調査では、慢性疾患が急増してきていたり、多くの子どもがアレルギーなどに苦しんでいたりするそうです。

その原因として遺伝子組換えの影響が考えられています。スウェーデンで、有機食品だけで2週間生活して子どもの尿を調べる実験をしたところ、実験前はさまざまな有害物質が検出されていましたが、実験後は検出なしという結果になりました。このようなことから、自治体単位で遺伝子組換え耕作を禁止するGMOフリーゾーンが世界中で拡大しつつあります。では、日本はどうでしょうか。

地域の食から見える産直提携へ!

オンラインならではのスポットライト機能で資料を解説

日本では、逆に遺伝子組換え作物の輸入が増えており、食品表示制度も不十分のため遺伝子組換え作物を使用しているかどうかわかりにくい現状です。さらに、近年、正確に安全に品種改良できる技術としてゲノム編集が登場しました。しかし、ゲノム編集は、編集というより遺伝子を破壊する技術という表現の方が当てはまっているとのこと。そうすると、ゲノム編集された作物が安全なのかということが気になりますが、実証実験されていないためわからないそうです。遺伝子組換えやゲノム編集だけでなく、日本は農薬であるグリホサート残留許容量も緩和し、規制方向の世界と異なる動きとなっています。

参加者から続々と寄せられる質問に答える印鑰氏

「子どものからだにも影響を与えている食の問題を解決する鍵は、学校給食だと感じています」と話される印鑰氏。一部の学校では、給食のお米を有機米にし、有機野菜の導入も始まっているそうです。給食に有機食材を導入することで、有機栽培を取り入れる農家も増え、一般市場への有機食材の取り扱いへもつながるとのことです。「これまでの産直提携は、参加している人にはわかるけれども、参加してない人にわかりづらかった。給食に取り入れることで見える活動につなげられる。見える活動をすることが大切です」との印鑰氏の説明に、個人の生活においても、食品を購入する際に意識をしようと思わされる学び深い講演会でした。

参加者のアンケートより(一部抜粋)

  • 恐怖を覚えることも多々あったが、これからの私達の行動で変えることができることも分かった。ただ恐れるだけでなく、きちんと理解して何をしたら良いかを考えなくてはいけないとおもえました。孫やひ孫のためにも。
  • 知らないで商品の購入をするのと、知識を得て、知ったうえで購入するかしないかを決めることは大きな違いだということ。食の現状を知らない人が多い日本で、少しでも草の根活動的にでも、まずは家庭のなかから、こうした現実を伝えていけるような日常を送っていきたいと思った。
  • 現状が良ければ良いのではなく、これから先にも生きる次世代の為にも目を向けはて行かねばならないとあらためて学ぶことができた。元々遺伝子組換え商品が身体に及ぼす危険性を学んでいたが、環境はもとより地下に眠る土城汚染までは考えもしなかった。大変勉強になりました。
  • からだは心と食べ物でできていると思うのですが、今回、お話をお聞きして、安易に簡単便利なものを求めるのはやめたいと思いました。また、自然をどうにかしようでなく、私たち人間もまた自然の一部なんだとあらためて感じました。今回、先生のお話を聞いて、これからは、自然や地球に少しでもいい生き方をしようと強く思いました。また、子どもや孫たちが健康に生きていける環境になるよう、できることをしたいと思いました。
  • 遺伝子組換え食品の恐ろしさをあらためて知ることができ、大変勉強になりました。長い年月をかけて、からだに影響を及ぼすものと考えられるので、これからは意識して食材を選びたいです。