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「甘いバナナの苦い現実」映画上映&学習会を開催しました

12月14日、新横浜本部にて「甘いバナナの苦い現実」映画上映&学習会を開催し、組合員・役職員28名が参加しました。

映画「甘いバナナの苦い現実」は、バナナの生産地であるフィリピンのミンダナオ島現地取材をとおして、バナナの裏側にある日本とフィリピンとのつながり、私たちの食卓と世界とのつながりを問い直すドキュメンタリー映画です。映画上映後は、株式会社オルター・トレード・ジャパンから講師を迎え、バナナの生産現場の状況を学び、エシカル消費について考えました。

甘いバナナの苦い現実とは?

多くの組合員にご参加いただきました

日本で消費されるバナナの約8割がフィリピンのミンダナオ島産です。昔は高級フルーツだったバナナですが、1963年に日本でバナナの輸入が自由化されると、日本市場に目を付けたアメリカ資本の企業を中心にフィリピンでプランテーションを拡大していき、今では身近なフルーツとなりました。しかし、大規模なプランテーションで栽培されるバナナは病虫害やカビに弱く、そうした外敵から効率的に守るために、農薬の空中散布が行われています。農薬の空中散布は、近隣の住宅地にも飛散し、住民が健康被害を訴えたり、生活用水にも影響が出ていたりしていますが、その因果関係は証明できない状況です。

さらに、契約時に約束した支払いがなかったり、バナナの買取り価格からさまざまなコストが差し引かれた金額しか手元に残らなかったりなど、企業と農家間の不透明で不公正な契約の話もありました。一方で、農地改革法を利用して自立した農家や農薬を使わない有機栽培をめざしている農家、そして、その支援者の紹介などもあり、公正で持続可能な生産について考えさせられました。

バナナをとおして私たちの食の未来を考える

(株)オルター・トレード・ジャパンの小林氏を講師に迎えました

映画に続き、(株)オルター・トレード・ジャパンの小林氏による講演でフィリピンバナナと私たちについてさらに学びました。小林氏は現地で農薬の空中散布に遭遇されたことがあるそうですが、農地にだけ散布されるようになっていても、実際は風向きなどで逃げようがないと実感されたそうです。また、住民への取材で、湿疹やアレルギーに悩まされていた子どもが、数年間プランテーションから離れた地域に避難したら快復したという話もありました。

(株)オルター・トレード・ジャパンは、もともとフィリピン・ネグロス島の飢餓に対して募金で支援されていましたが、毎日の食を通じてネグロス農民のくらしを応援するバランゴンバナナ民衆交易へと支援の形を変えました。

市販バナナとバランゴンバナナは、「大規模プランテーションか小規模家族経営か」「科学的・工業型栽培か有機栽培か」などの違いがありますが、とくに「収奪的か持続的か」という違いがあります。このバランゴンバナナの取り組みは、SDGsの目標に掲げられている「貧困の撲滅」「持続可能な農業の推進」「持続可能な消費と生産」にとくに当てはまり、このような商品を選ぶことがエシカル消費となり、持続可能な社会へつながるとのことでした。

質疑応答では熱意のこもった質問がありました

終始、真剣な面持ちでメモをとりつつ話を聞いていたみなさん。質疑応答の時間では、熱意のこもった感想とともに、「バナナ以外でもこのような取り組みを」といったやりとりがあるなど、バナナをとおして私たちの食の未来をあらためて深く意識した2時間となりました。