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「学ぼう!アニマルウェルフェア」を開催しました

1月23日(水)ユニコムプラザさがみはらにて、アニマルウェルフェアの学習会を開催し、組合員・役職員あわせて約20名が参加しました。

アニマルウェルフェアとは?

当グループのアニマルウェルフェアについて語る(株)パル・ミートの割石氏

そもそもは畜産の歴史が古いヨーロッパを中心に広がった取り組みで、「動物福祉」などと訳されます。「動物福祉」とは、家畜のストレスをできるだけ減らし、動物本来の行動要求が満たされた、健康的な生活ができる状況にあることめざす考え方のことです。

パルシステムでは、アニマルウェルフェアの取り組みとして、産直産地と手をたずさえ、快適な環境で健康な家畜を育てることで、薬剤に依存することなく、食の安全・安心やおいしさへとつながる畜産物にすることをめざしています。このことは、家畜・生産者・組合員3者の幸福にもつながると考えます

抗生物質を使わずに牛を育てるということ

宮北牧場の生産者、宮北 輝氏

講師としてお招きした宮北氏の牧場では、当グループであつかっている『コア・フード牛肉』の牛を、一定期間母子でのびのびと放牧させて育てています。
「産地の現場では牛一頭一頭を必死な思いで育てています。その状況をみなさんに伝えたい、知ってほしいという思いで本日こちらに来ました」と語り始められた宮北氏。
抗生物質を使わずに家畜を飼育できるのか、とよく聞かれるそうですが、「北海道にはすばらしい大地の恵みがある。放牧地で草をはむ母牛から母乳を通じて大地の恵みが子牛へと注がれる。母牛の免疫も受けられるからおのずと病気にもかかりにくくなる。だから抗生物質を使わなくても充分飼育ができるのです」と答えるそうです。それゆえ、安全・安心でおいしい牛肉を作ることができるということにつながります。

しかしながら「安全・安心というのはそんな簡単なことではない」とも。
自然に近い形での繁殖の管理、死亡率の高い放牧地での分娩、放牧地の草の生長サイクル管理、輸入飼料に頼らず自給生産もしていること、牛舎の衛生管理など、健康な牛を育てるためのこだわりを貫くことのむずかしさ。そして昨年のような台風や地震などの自然の脅威。
一つひとつが想像を超えた大変さであることに、参加者のみなさんも深くうなずく様子が見受けられました。

生産者の思い、そして私たちがすべきこととは

多くの困難はあっても「みなさんの口に入るものを提供する側の人間として、安全・安心なものを作ることに強い責任をもっています」と真摯に語られていました。
家畜がストレスなく健康的に過ごせるという幸福、私たちが安全・安心でおいしいものをいただけるという幸福、そこをつないでくださる生産者の方々もまた幸福であるよう、私たちは何をすべきかを考えるよい機会になったのではないでしょうか。

最後は、質疑応答を交えながらの試食の時間。宮北牧場で大事に育まれたいのちに感謝しながら『コア・フード牛肉』を味わわせていただきました。

【参加者アンケートより】
・生産者の方から直接リアルなお話が聞けてよかったと思います。安心して食べることができるお肉だと実感しました。
・国産飼料100%で育てていること。お肉の色が赤く「固いかな~」って思いましたが食べてみるとほどよい食感と弾力でした。実際に牛に会いたくなりました。
・牛舎の中で育てられているものと思っていたので、こんな育てられ方をしているのか、とびっくりしました。

【参考記事】
機関誌『どり~むぺいじ』2018年8月号の特集でも、アニマルウェルフェアについて取り上げています。こちらもぜひご覧ください。
~いのちに対する倫理観~アニマルウェルフェア(デジタルブックが開きます)