一般社団法人 Thoughtful Gift
当組合では、市民活動応援プログラムの支援団体について、支援金の使途状況や近況などをうかがうため、各団体を訪問しています。
一般社団法人 Thoughtful Gift
精神障がいにより閉鎖病棟などの精神科病院へ入院する際に必要な物資を無償で提供する活動をしています。寂しさや不安に寄り添うひとつのあり方として、そっと寄り添いたいと思っている方々から集まった物を気持ちといっしょに届けています。活動をとおして頼ることの大切さや、あなたは独りではないというメッセージを伝えたいという思いがあります。
所在地:神奈川県内
ホームページ:https://www.thoughtfulgift.org/
訪問日は、川崎市の物資の倉庫兼発送場所を訪れ、代表の方にお話をうかがいました。うかがった場所のほかに、パルシステム神奈川の宮前センター、ボランティアさんの家などを活用して、物資を保管しています。倉庫兼発送場所についてはまだ充分足りているとはいえない状況です。
活動は「精神障がいにより神奈川県内の精神科病棟へ入院する際に必要な物資を無料で提供」するための発送準備として、毎週土曜日、日曜日に行っています。うかがった週には6件の発送、その前週には6件の発送があり、第3期のひと月当たりの最大件数(19件ほど)に迫り、越える勢いです。活動日を増やすことも考えています。第4期の依頼・発送件数は現時点で100件ほどということです。活動を行うのは、ボランティアの方が18名程度で、大学4年生が多いということです。そのため、来年は減ることが予測され、その一方で依頼は多くなっていることから、人手は足りなくなってきています。物資の在庫については、ズボンや下着が不足しています。
依頼は9割がソーシャルワーカーからのもので、依頼理由としては、サポートをしてくれる家族がいない、家族と疎遠である、家族が遠方に住んでいるなどや、熱心にサポートしていた親御さんが高齢になったなどもあります。依頼者は病院に所属しているソーシャルワーカーの助けを受けて、当団体への支援を依頼するということです。
物資には、温かい気持ちがこもったメッセージカードを添えています。また、切手が貼ってある葉書も同封していて、物資を受け取った当事者の方から感謝の声や感想などが送り返されてきます。
昨年度には、「病院内で当事者の方本人に衣類や日用品を選んでほしい」という気持ちで、病院協力のもと、院内で無償バザーのような形で支援を届ける「えらんでマルシェ」というイベントも開催しました。
財政状況としては、助成金を活用したり、企業等からの現物寄付などもありますが、倉庫の家賃や足りない物資の購入などに費用が掛かり、収支としてはマイナスで、自費の持ち出しも行っている状況です。
対外的な企業などへのメッセージとしては、「当事者やその家族の困難さ、従業員の方にも起こり得る問題であること、知らんぷりできない問題であること、取り組みにくい話題ではあるが、自分ごととして考えてほしい」という内容を伝えています。また、社会課題、地域課題に取り組む姿勢を、その企業のトップのメッセージとしても活用してほしいとも伝えています。
代表の方は、「依頼の多さと現実にできることの間に立って何とか活動を行っている」とお話しくださいましたが、できる限り当事者の困難に対してサポートしたいという思いが伝わってきました。
【支援金、賛助金活用状況】
下着やシューズ、ズボンなどの物資の購入費に充てています。
【訪問の感想】
日本において30人に1人が抱える精神的な病や困難は現代社会における重大な問題でありますが、取り組みにくい問題とみなされがちで、社会としてのそこへの向き合い方は確立されておらず、個々人が抱え込んでいるように感じます。また、人間関係の希薄化や地域社会におけるつながりの希薄化、核家族化なども影響し、困難に直面したときに頼れる人、サポートしてくれる人がいない人が増加しているように感じます。そんななかで、当団体の活動は、地域社会から生まれた、必要性があり、社会への貢献度の高い活動であると考えます。
またこのような時代において、個人が抱える問題を、社会の問題としてとらえ社会としてサポートするという在り方が重要となり、増えていく可能性があると感じました。
家族や親せきや友人や知り合い、地域の顔見知りではない団体や顔も知らない誰かが自分の困難に手を差し伸べてくれたことは、当事者のその後の歩みの光ともなり得ると感じました。民間からこのような活動が生まれたことは希望でもあると感じます。
この活動を持続可能なものとして、今後も続けていってほしいことと、このような気持ちをもった人や団体が少しでも増えていってほしいと思い、当組合としても応援をしていきたいと感じました。
当支援金で購入したシューズ
当支援金で購入したズボン